どうも、ひげづら(@higedura24)です。
株式投資の世界だけでなく、世界金融の歴史として語り継がれていくであろう事件をご存知ですか?
それは
- サブプライムローン問題
- リーマンショック
の2つです。
どちらかと言えばリーマンショックの方が投資家に浸透している言葉だと思いますが、別々の事件とは言えないでしょう。
今でも当時の株価がどれくらいだったかは意識されているところで、その影響は大きいですよね。
ただこの記事を執筆している時点ですでに10年以上経過していて、事件の背景など今更聞けない!という方も多いかと思います。
そこでこの記事ではサブプライムローン問題からリーマンショックの流れをわかりやすくまとめてみました。
知っておくといずれ役に立つかなと思いますので、ぜひご参考ください。
サブプライムローン問題の背景
2000年のアメリカでは「ドットコムバブル」というITバブルが起こっていました。
このITバブルによってアメリカ経済は潤うことになりましたが、バブルはいつか弾けます。
その影響で株安が起こり、2002年~2005年にかけて政策金利の低下が起こりました。
通常、政策金利を引き下げればお金を借りやすくなり経済が活性化します。
ITバブルの崩壊による影響をなんとか食い止めようと、アメリカ政府も動いたわけですね。
お金を貸すのはもちろん銀行で、消費者のメインターゲットは「住宅ローン」です。
銀行も金利が低い状況でいかに効率よく稼ぐかを考えるので、住宅ローンを推し始めます。
この流れが建設ラッシュを起こして住宅価格を向上させ、今度は「住宅バブル」が起きることになりました。
ちなみに当時のアメリカではブッシュ大統領が「オーナーシップ社会構想」というものを推進しようとしていたようです。
オーナーシップ社会構想とは個人の資産で民間サービスを購入し、政府はその側面的な支援に限定するという考え方のこと。
高齢化社会に対応するために提唱されていたもので、持ち家に関しても推進されていたという話があります。
こういった
- ITバブルの崩壊
- 政策金利の引き下げ
- 住宅価格のバブル相場
- オーナーシップ社会構想
がサブプライムローン問題の背景となる流れで、ここからとんでもないことが起きてしまいます。
サブプライムローン問題とは
2006年頃には多くの所得層が住宅を購入し、住宅価格もかなり上昇している状況になりました。
となると、まだ住宅ローンを組んでいない所得層は「低所得層」ですよね。
この低所得層のことを「サブプライム」と呼び、時代は低所得層向けのサブプライムローンへと移行していきます。
しかし、一般的に住宅ローンを組めるのは
- ローンを組めるほどお金に余裕がある
- 所得が安定していて返済が可能
- 社会的な信頼が厚く、長期的なローンでも問題ない
といった方に絞られますよね。
通常であればターゲットにしたい低所得層は住宅ローンなど到底組めないです。
でも利益を追求するためにはなんとかして組ませて、新たな顧客層を獲得したい。
そこで住宅ローン会社は現状の住宅価格向上を背景に、変わった仕組みを思いつきました。
それが
- 最初の数年の金利を安く設定
- ある期間を境目に金利が高くなる
- ただし、その上昇分は住宅価格の向上で補填する
- 住宅ローンを払えなくても、住宅を売却すればローンを相殺できる
といった内容の「サブプライムローン」です。
簡単に言えば「低所得者でも組めるように金利は高く設定したけど、無理なら住宅を売って相殺してくれれば問題ないよ」ということですね。
これだけ聞くと非常に怖い住宅ローンだなと感じますが、当時の住宅価格はバブル状態のうなぎ上りでそんな心配をする人は少なかったのでしょう。
低所得者達もマイホームが手に入って、ダメならまた元の生活に戻れば良いやとどんどん借りていきました。
サブプライムローンは債権化され証券会社へ
サブプライムローンは画期的な低所得者向け住宅ローンとして爆発的にヒットしました。
そして、住宅ローン会社が次に考えたことは「このローンを債券化して売却しよう!」ということです。
債券化すれば他人に売ることができますし、そのお金で新しいサブプライムローンを生み出すことができます。
また、債券を買い取った人は住宅価格の上昇という後ろ盾がある商品から利益を受け取ることができるわけですね。
この債券の買い取り先となったのが「投資銀行」と呼ばれる存在で、彼らもまたこの商品を「証券化」して売り出そうと考えました。
しかし、普通に証券化しても低所得者向けという要素が邪魔して売れません。
そこで
- 安全な投資商品
- リスクが高めのサブプライムローン証券
を抱き合わせて売り出すことにしたわけです。
さらにはAIGという大手保険会社と協力して元本保証までつけ、これを世に送り出しました。
もうおわかりかと思いますが、この筆頭となった投資銀行こそが「リーマンブラザーズ」という大手投資銀行ですね。
後述するリーマンショックの名称は、リーマンブラザーズからきています。
サブプライムローンは単なる低所得者向けの住宅ローンから投資商品へと変貌し、世界中の投資家にばらまかれる流れになっていったことが大きなポイントです。
また、多彩な商品と混合し、色々な種類の証券が開発されたことも重要でしょう。
なぜならこれらの要素は後々、
- 誰が
- どの商品の中に
- どのくらいの割合で
といったことはおろか、自分が関係しているのかすらわかっていない人もいた状況を引き起こしたようです。
リーマンショックとは
サブプライムローン債権が組み込まれた証券は、格付け会社から高い評価を受けることとなりました。
当然、多くの人は安心できる投資商品だと思いますよね。
しかし、色々な証券と合体して様々な商品に変貌したこともあり気づかれませんでしたが、実際にはかなりのリスクを背負っている証券でした。
ここで言うリスクとは住宅バブルの崩壊であり、これは
- 低所得層が住宅ローンの返済ができなくなる
- 投資銀行が買い取った債券が不良化される
- その債権が組み込まれた証券を買った人の資産が減る
といったことを表しています。
そういったリスクがあることも知らず、サブプライムローン問題は
- 世界中の投資家
- 大企業
- 投資銀行
- 傘下のファンド
などに植え付けられてる状況になりました。
住宅バブルが弾けた!
ITバブルと同様に、住宅バブルもいつかは弾けます。
そしてそれは2007年に突然起こり、それがきっかけで前述のリスクが露呈していく流れです。
まず最初に生じたのは2006年における金利の引き締めでした。
ただでさえ苦しいローン返済に追い打ちがかけられ、サブプライムローンの返済が滞っていきました。
次に起こったのは住宅の差し押さえです。
瞬く間に住宅市場は売り物で埋め尽くされ、住宅価格はどんどん下がっていきます。
その流れでサブプライムローンの不良債権もあふれる状況が続いていきました。
こうした流れは必然的に証券需給の悪化を引き起こしますよね。
投資家の保有証券は急落し、投資商品の実質的な価値がわからなくなりました。
- 高評価な格付け
- 数多くの優良商品
に隠れていた不良債権の種が露呈した頃にはすでに手遅れで、あらゆる商品に抱き合わせてばらまかれていたものは軒並み売られる流れとなったわけです。
投資家はパニックになりましたが、需給悪化の状況では買い手も中々見つかりません。
そんな中、フランスの大手メガバンクが「投資商品の解約には応じません!」と発言する事態になりました。
アメリカだけでなく欧州市場にもさらなる不安が漂い、サブプライムローン問題はどんどん世界中に波及していく事態に変化していきます。
リーマンブラザーズとAIGの破綻
結論的にはベアスターンズやメリルリンチといった世界的な金融機関が身売りすることで危機を脱していく中、そうはいかなかった金融機関がありました。
それは投資家に証券化してばらまいた筆頭であるリーマンブラザーズです。
リーマンブラザーズは債権取引に強みを持ちつつレバレッジを大きくかける特徴があったようで、売る予定だった不良債券を大量に抱えていました。
この一連の流れで協力関係にあったAIGとリーマンブラザーズは多額の負債を抱えることになり、もはや大きすぎる負債を潰せない状態です。
- リーマンブラザーズという大きな金融機関は救済されるはず
- アメリカ政府しか救済支援できない
という見方が強く、多くの投資家がそうなるだろうと考えていました。
しかし実際には救済はされず、2008年9月15日にリーマンブラザーズは破綻という結末を迎えたわけです。
これが俗にいう「リーマンショック」であり、ここからさらに世界的な金融ショックを巻き起こしていきます。
サブプライム問題からリーマンショックの流れは日本にどう影響したか
世界中の金融機関が影響を受ける中、国内のメガバンクは比較的傷が浅くて済みました。
その理由は長引く不景気によってサブプライムローンが関わる投資商品に手を出せていなかったからです。
これを背景に、リスクオフの対象が日本円となりました。
ドルが売られて日本円が買われるので為替はどんどん円高に進んでいく流れです。
世界的な消費の落ち込みに加え、このドル安が国内の輸出産業に影響してしまったことは言うまでもありません。
こうして国内株式市場も暴落し、大幅な景気後退へとつながりました。
まとめ
いかがでしたか?今回はサブプライムローン問題からリーマンショックまでの流れをまとめてみました。
サブプライムローンという利益を追求した商品がきっかけで、これほどまで世界を巻き込む事態へと発展したことは非常に驚きですよね。
また、それがどのようにして世界にばらまかれていったのかも信じがたいものがありました。
サブプライムローン問題やリーマンショックには投資や金融業の恐ろしさが詰まっていて、リスク管理は大事だなと考えさせられます。
世界の金融機関でさえレバレッジにやられてしまうのですから、個人投資家が無計画にかけてはいけないですね。
株価の暴落にはくれぐれも日々備えていきたいものです。
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