どうも、ひげづら(@higedura24)です。
株式投資では営業利益率が高い業界にお金を置いておくことがとても大切ですよね。
なぜなら利益率が高い業界はそれだけ業績も上昇しやすく、それによって株価も良い影響を受けやすいからです。
一概には言えませんが、企業の利益率は中長期的な材料ともなってくるでしょう。
ここで質問ですが、皆さんはどの業界が利益をあげやすいか把握していますか?
私もなんとなくでしかイメージを持っておらず、この記事では
- 全業種における売上高営業利益率の調査結果
- 利益率が高い業界ランキング
- 利益率が低い業界ランキング
- 結果から考察できる点はどんなものか
といったことを書きました。
株式投資の基礎的な知識として、営業利益率が高い業界の傾向を知っておいてはいかがでしょうか。
営業利益率が高い業界ランキング
では早速ですが、業種別の売上高営業利益率を調べた結果をお伝えします。
ちなみに売上高営業利益率とは「売上高のうちどれくらいが利益として残ったのか」を教えてくれ、簡単に言えば「業界における稼ぎやすさ」がわかる指標です。
株式市場には33業種のセクター分けがなされていますが、その1つ1つに対して売上高営業利益率が
- 0~5%
- 5~10%
- 10~15%
- 15~20%
- 20~25%
- 25%~
となっている銘柄がいくつあるかを調べていきました。
調査方法は
- 楽天証券のスーパースクリーナーにて業種限定
- 売上高営業利益率を順番に入れていく
という手順です。
利益率がマイナスとなっている赤字銘柄は除外されていて、「トータルの銘柄数に対して各利益率帯における銘柄数がどのくらいの比率になっているか」もパーセント表示しておきました。
なお、銀行業については売上高営業利益率のデータがなかったため比率は不明となっていますのでご了承下さい。
その結果、表は以下のようになりました。
業種が多すぎて少し見づらいですが、
- スマホの方は二本指
- PCの方は「Ctrlを押しながらマウスのホイール操作」
で見やすい大きさに変更をお願いします。
業種内で最も銘柄数が多かった営業利益率帯は赤字表記にしておきましたので、
- 赤字が上にきているほど利益率が低い
- 赤字が下にきているほど利益率が高い
という相対評価をすることでざっくりとした傾向がわかることでしょう。
例えば陸運・海運・空運はいずれも赤字が「営業利益率0~5%」の位置にありますよね。
運輸系は比較的利益率が低いセクターなんだとわかりますし、逆に言えばその中でも25%以上となっている銘柄は貴重だなと考えられるでしょう。
ちなみに陸運の営業利益率25%以上となっている銘柄は「東海旅客鉄道」で、37%以上という高い水準でした。
ここからなぜ東海旅客鉄道は売上高に対する営業利益率が高いのかを考えていけば、理解が深まっていくのではないでしょうか。
一応、それぞれの業界で「どの利益率帯が高かったのか」と「その比率」を記載しておきます。
- 水産農林:0~5%(81.8%)
- 鉱業:5~10%(50.0%)
- 建設業:5~10%(55.7%)
- 食料品:0~5%(63.7%)
- 繊維:0~5%(46.3%)
- パルプ紙:0~5%(66.7%)
- 化学:5~10%(44.8%)
- 医薬品:10~15%(25.5%)
- 石油石炭:0~5%(40%)、5~10%(40%)
- ゴム:5~10%(52.6%)
- ガラス:5~10%(34.7%)
- 鐵鋼:0~5%(59.0%)
- 非鉄金属:0~5%(51.6%)
- 金属:0~5%(41.7%)
- 機械:5~10%(40.6%)
- 電気機器:5~10%(41.0%)
- 輸送用機器:0~5%(56.2%)
- 精密機器:5~10%(40.0%)
- その他製品:0~5%(51.6%)
- 電機ガス:0~5%(62.5%)
- 陸運:0~5%(35%)、5~10%(35%)
- 海運:0~5%(50.0%)
- 空運:0~5%(40%)、5~10%(40%)
- 倉庫:0~5%(55.6%)
- 情報通信:5~10%(31.6%)
- 卸売:0~5%(78.7%)
- 小売り:0~5%(66.6%)
- 証券:25%~(34.6%)
- 保険:10~15%(40%)、20~25%(40%)
- その他金融:5~10%(37.5%)
- 不動産:5~10%(32.8%)
- サービス:0~5%(33.3%)
一番稼いでいるセクターはどこか
上記の結果表から営業利益率が高い業界を考える場合、やはり一番高い水準である25%以上に目をつけたいですよね。
全業界の中で売上高営業利益率25%以上が高い比率にあるものをランキングしたところ、
- 証券:34.6%
- その他金融:20.8%
- 医薬品:12.8%
- 情報通信:9.1%
- 精密:8.9%
- サービス:7.2%
といった順番になりました。
なお、鉱業も16.7%と高い水準ですが1銘柄のみなので除外してあります。
証券セクターの利益率がこれほど高いのは正直意外でしたが、その他金融や精密も上位にきているので景気敏感株が高い時期にあるのでしょうか・・?
証券会社には手数料無料化の波がきていますがこれからどうなっていくか興味深いですね。
個人的に上記の業種別結果で最も納得したのは情報通信業やサービス業です。
特に情報通信業は300~400銘柄ほど在籍していても営業利益率10%以上を誇る割合が半数近いので、セクター全体として稼ぐ力が強そうだと考察できます。
サービス業は事業内容が多岐に渡りますが、例えば
- M&A仲介業
- 人材派遣業
- 求人情報業
- アプリケーションサービス業
などでは大がかりな設備が必要ないので利益をあげやすそうですね。
証券やその他金融業などは景況感に左右されやすい側面がありますが、情報通信やサービス業は内需的な企業が含まれていて狙いやすい業界だと思います。
営業利益率が低い業界も見てみよう
上記の結果から、33業種の中で一番利益率が低い業界がどこかも考えてみたいと思います。
利益率が高いランキングと同様に最も利益率が低い帯域に目をつけたいので、0~5%に着目してみましょう。
売上高営業利益率が5%以内というセクターはそれなりに多かったのですが、中でも比率が特に高い業界をランキングした場合は
- 水産農林:81.8%
- 卸売り:78.7%
- パルプ・紙:66.7%
- 小売り:66.6%
- 食料品:63.7%
- 電気ガス:62.5%
といった順番になりますね。
特に水産農林セクターは全11銘柄のうち9銘柄が利益率5%以内に収まっている状況のようです。
銘柄数が少ないとはいえ全体として稼ぎづらい業種なのかもしれませんね。
銘柄数が多くて利益率が低いのは卸売りや小売りセクターで、300銘柄が在籍していても8割9割が10%以上の利益率を出せていないようです。
これだけ銘柄があればかなり幅広い事業内容となりそうですが、効率的に高い利益を得ている事業は少ないのかもしれません。
小売りは社会的なブームを巻き起こした銘柄が注目を浴びる傾向ですが、全体としては入れ替わりが激しく厳しい業界のようです。
パルプ・紙はそもそも高価なものを売っているイメージがないのですが、利益率より薄利多売の業種なのでしょうか。
段ボールなどの需要もほぼ決まっているとすればこの利益率は変わらないかもしれませんね。
食料品も大義名分もなく値上げすれば消費者から反感を買いやすいですし、在庫なども抱えがちな業界というイメージがあります。
電気ガスは国から一定の縛りを受ける業界なので、高い利益率を得づらい代わりに生活に必ず必要な「内需の代表格」となっている面があるでしょう。
業種別の収益性は営業利益率だけではない
ここまで業界別の売上高営業利益率について述べてきましたが、収益性指標はこれだけではありません。
今回はあくまで営業利益率だけを考えていますが、例えば投下資本に対してどれくらい効率的に稼げているのかはROICを見なければなりませんよね。
企業やセクター内の傾向は色々な指標を考慮して考える方が良いので、気になることがあればご自身でも業界内の事情を調べることをおすすめします。
また、この記事の結果は執筆時点でのものなので時間が経てば変化する可能性もあるでしょう。
そうそう変わるものではないでしょうが、あくまでざっくりとした傾向として考えていただきセクターを限定しながら自分でも追跡していってください。
投資は自己判断ですので、自分が納得できる高い収益性を持った業界に投資していきましょう!
まとめ
いかがでしたか?今回は業界別の売上高営業利益率をランキング形式でご紹介しました。
稼ぎやすいセクターは証券業や情報通信業、稼ぎづらいセクターには水産業や紙パルプ業がありましたね。
高い利益率を誇っている業界の傾向がなんとなくでも掴めたかと思いますので、これをヒントに戦略を考えてみてはいかがでしょうか。
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