どうも、ひげづら(@higedura24)です。
みなさんは信用取引を行っていますか?
また、信用買いや信用売りをする際によく耳にする
- 信用買い残
- 信用売り残
- 信用倍率
の意味や活用方法をご存知ですか?
今回は株式投資をする上で重要な上記3つの意味や具体例について解説します。
現物のみで行っている場合でも見るべき指標ですのでぜひ参考にしてください。
信用買い残と売り残とは
まず簡単に信用買い残と信用売り残の説明をします。
- 信用買い残:市場において信用買い建ての未返済株数がどれだけあるか
- 信用売り残:市場において信用売り建ての未返済株数がどれだけあるか
非常にシンプルですよね。
要するに信用取引の買い建てポジションと売り建てポジションがどれだけ残っているかを数字で教えてくれているというもの。
信用取引は
- 一般信用取引:返済期限がないが金利が高い
- 制度信用取引:返済期限は6ヶ月で金利が安い
の2種類があり、通常は金利が低い制度取引を使用します。
そのため信用買い残・信用売り残に関係なく返済期限つきの将来の反対売買勢力になるという特徴があります。
この点は非常に重要なのでしっかり認識しておきましょう。
また、信用買い残と信用売り残の割合は
- 信用倍率(倍) = 信用買い残 ÷ 信用売り残
という指標で表されます。
例えば、
- 信用買い残:10000株
- 信用売り残:5000株
であるときの信用倍率は
信用倍率 = 10000 ÷ 5000 =2(倍)
という具合。
式からわかる通り、信用倍率は1倍以下であるときに信用売り残の方が信用買い残より多いという状況を表し、そういった銘柄は「好取組み銘柄」や「売り長」と言われます。
反対に信用倍率が5倍以上の銘柄は「買い長」が意識され、株価暴落の危険性があります。
でも、なぜ信用売り残のほうが多いときに「好取組み」なのでしょうか?
それは信用売り残が多い状況が長く続いたときに「踏み上げ相場」に発展する可能性があるからです。
踏み上げ相場とは信用売り残の決済、つまり買い注文により株価がさらに上昇する現象のこと。
売り残が長く残っているということは空売りしている投資家が含み損を抱えた状態が長く続いていると言い換えられますよね。
踏み上げ相場とは株価が上昇して含み損に耐えられなくなった空売り勢が、返済期限を迫られた末に買い決済(ロスカット)を行うという相場の内部変化なのです。
ただでさえ株価が上昇しているのにさらに株価が踏み上げられるため一段高となり、買い手側に大きな利益が発生するというわけ。
こういった市場参加者の損益の状況、すなわち需給状況を信用倍率から読み取ることができるんですね。
ただし、信用倍率はただ確認するだけでは不十分。
必ず、
- 信用買い残と売り残の値
- 個別銘柄ごとの25日平均出来高
を確認してください。
例えば、直近25日間の平均出来高が10万株の銘柄があったとしましょう。そのとき、
- 信用倍率:0.5倍
- 信用買い残:50万株
- 信用売り残:100万株
というAパターンと
- 信用倍率:0.5倍
- 信用買い残:5000株
- 信用売り残:1万株
というBパターンではどちらの方が将来的な値動きに与える影響が大きいと思いますか?
断然、25日平均出来高の10倍もの信用売り残(将来の買い圧力)があるAパターンの方が影響は大きいですよね。
このようにいくら同じ売り長であっても将来的にどのくらいの出来高が予想されるのかで全く期待値が変わってきます。
信用倍率だけでなく必ずその中身まで確認してください。
一応、ポイントや目安および確認方法をまとめておきます。
- 信用倍率は1以下で踏み上げ相場を意識する
- 信用買い残や信用売り残が25日平均出来高と比較してどの程度溜まっているのかが重要
- 25日平均出来高はPCツールで出来高移動平均線を表示して確認
- 買い残、売り残はPCツールの週足出来高に表示しても良いし、ヤフーファイナンスで確認しても良い
- 25日平均出来高の3倍以上の残り数になってくると需給に影響を与える
信用倍率や信用買い残・信用売り残はヤフーファイナンスで推移を確認できます。
信用買い残や売り残の推移だけ見るのであれば週足の出来高にも表示されています(少なくとも楽天証券アプリやマーケットスピードⅡには)。
気になる銘柄はまめに確認してくださいね。
ちなみに楽天証券のスーパースクリーナーには「信用残/売買高レシオ」というものがあります。
これは25日平均出来高に対して信用買い残が何倍残っているかを表したもの。
- スーパースクリーナーの検索条件に信用残/売買高レシオを追加
- ヒットした銘柄から上昇トレンドで踏み上げが起こりそうなものをピックアップ
というスクリーニング方法も良いですね。
株価上昇なら信用倍率が高くても大丈夫?
信用倍率や信用買い残・信用売り残は非常にシンプルな概念ですが、しっかり中身も確認しなくてはならないとお伝えしました。
さらに申し上げると、それぞれの変化を時系列で追っていくことがポイントです。
前述の通り、信用倍率は相場の需給変化を表しているためいつどこでどのように変化したのかがそっくりそのまま需給動向に置き換えられます。
例えば、
- 株価が上昇トレンド中に信用買いが増加している
- 株価が伸びていくうちは信用買いポジションに含み益が生じていく
- 含み益が出ているので含み益を決済しても、また買いポジションを持とうと需要が生じる
- 信用取引が循環
という流れであれば株価と需給方向が順行しているので良好な需給状況だと考えられますよね。
つまり株価が上昇しているときは信用倍率が増加していくのが普通で、正常な状態です。
ただし、いくら株価上昇中でも10倍や20倍を超えるほど信用倍率が高くなりすぎるのも危険でしょう。
もし株価が急落した場合にはその信用倍率(多すぎる信用買い残)が邪魔をしてしまいます。
捕まった信用買いをしている人達は同値撤退したいと考えていますし、戻り売りにも狙われやすいでしょう。
株価上昇で売り長のケース
では逆に、株価上昇からこんな感じで発展していった場合はどうでしょうか?
- 信用取引がうまく循環していたが、株価の上昇が止まらずに信用売り勢の含み損が増え続ける
- 信用買いは循環するが、信用売りはロスカットできずに溜まっていきやがて売り長になる
- 株価は上昇するのに信用売りが溜まる
- 踏み上げ相場へ発展
需要が行き過ぎた結果として良い意味でしこりが生じて踏み上げ相場になりますよね。
このように信用倍率や信用残りの推移は需給変化を教えてくれるものなんです。
これは株価下落中に信用買い残が積み上がっていった場合にも同じことが言えます。
一般にはこちらの方が「しこり相場」なんて言いますかね。
株価上昇で信用買いが溜まるのは良いですが、株価下落で信用買いが溜まるときは暴落が生じる可能性がありますのでご注意を。
株価上昇で信用買い残減少の意味
前述のように、株価が上昇していくと段々と信用買いが増えていきます。
しかし信用買い残は将来の売り圧力ですよね。溜まりに溜まった売り圧力が将来降り掛かってきたら非常に困ります。
信用買い残が積み重なってきたとき、大量の売りは回避できず暴落を待つのみなのでしょうか?
実は売り決済以外にも決済方法はあるんです。
その名も「現引き」。
現引きとは信用買いを現金で引取り、現物として保有することを言います。
信用買いが現引きされるケースは信用期限を超えて上昇が見込めると判断が変わったときです。
最初から長期保有する場合は現物買いされますが、信用買いをしたもののどんどん材料が出てきて期待値が上がっていくとき現引きがなされるのですね。
現引きが進んでいくと信用買い残の整理が進んでいきます。すると、
- 株価は上昇
- 信用買い残は減るが信用売り残は減らない
- 踏み上げ相場へ発展
となる可能性も出てきます。
(もちろん、現引きではなく決済売りを現物買いが吸収していった可能性も考えられますよ。)
このように「株価が上昇しているのに信用買い残が減っていく現象」を確認したときは大きな資金で信用買いが整理されているかもしれません。
大きな買い需要を見ているのかを
- 売り残や値動き
- ファンダメンタルズの変化
から考察してください。
株価上昇かつ信用倍率減少で現物相場に移行した例
では最後に信用買い残や信用売り残の推移から需給の変化を読めた例を見てみましょう。
こちらをご覧ください。
これは上昇トレンド銘柄の週足チャートです。出来高部分に引かれている線は
- 赤線:信用買い残
- 青線:信用売り残
を示しています。
移動平均線の上昇推移を見てもわかるように、この銘柄は長いこと上昇してきた銘柄です。
信用買い残(赤線)はずーっと信用売り残(青線)を上回って推移していますね。
このときの信用倍率はおよそ4.5倍で買い長の状態です。
ところが赤枠内では
- 株価上昇中なのに信用買い残が減少している
- 信用売り残も増加傾向
- やがて赤線と青線が交わり信用倍率は1倍に変化
となっていることがわかります。
さらに赤枠を超えた部分では
信用売り残(青線)が信用買い残(赤線)を上回りわずかに売り長の状態
に変化しました。つまり信用倍率が1倍を切ったということですね。
その後は赤線と青線は抱き合うように推移しているように見えますが、依然として株価は上昇中です。
では続きを見てみましょう。
結局、赤枠部分で信用買い残が整理されてから株価は倍以上に上昇しました。
上昇中盤では相変わらず売り長の状態でしたが、後半に大陽線を引き始めると信用倍率に変化が見られます。
そうです、踏み上げが生じて信用売り残が減少しました。つまり信用倍率が再度1倍以上に戻ったということ。
後半部分の信用買い残・売り残の変化は見づらくて申し訳ないですが、赤枠部分の信用買い残整理で上昇がさらに勢いづいたことがチャートからわかります。
おそらくここで買い手側が信用買い相場から現物相場に切り替わっているのでしょう。
このように信用倍率の変化から相場の内部変化が読み取れます。
現物取引しか行わない場合でも、信用倍率の変化に注目することは非常に良いことだという言えますね。
まとめ
いかがでしたか?今回は信用買い残、信用売り残、信用倍率について解説しました。
最初はなんとなくしかわからなくても色々な銘柄に触れていくうちにわかってくるでしょう。
これを機会に信用倍率に気を配ってみてはいかがでしょうか?
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