価格帯別出来高の見方や使い方!意味を知って正しく活用しよう!

    

前回記事は「株価反転時の出来高分析!この構造をイメージして値動きを観察してみよう!」でした。

どうも、ひげづら(@higedura24)です。

株式投資では出来高によって色々なことがわかります。一般に出来高はチャートの横軸に表示されており、その棒グラフの増減を見て需給状況を判断するわけですね。

しかし、実は出来高は横軸にしか表示できないわけではありません。

この記事では「価格帯別出来高」という縦軸に表示される出来高について解説しました。

横軸の出来高分析が基本ではありますが、価格帯別出来高も値動きを観察する上で重要なヒントとなりますよ。

なお、この記事を書くにあたり以下の外部サイトを参照しました。

<外部参照サイト>

SMBC日興証券|価格帯別出来高

    

価格帯別出来高とはレジスタンス・サポートラインを表すもの

価格帯別出来高とは「過去の一定期間において約定した株数を価格帯別に表示したもの」です。

約定した数とはすなわち「出来高」ですよね。

価格帯別出来高は縦軸(価格)に着目して出来高を表示しているもので、横軸(時間軸)は関係ありません。

つまり経過を見ているのではなく、総和を表示しています。

価格帯別出来高が盛り上がっているほどその価格帯で売買した投資家が多いことを意味しており、値動きを観察する上で重要な価格帯なんだなと認識できるわけですね。

例えばこちらをご覧下さい。

 

 

これは上場して間もない直近IPOチャートで、左側から出ているグレーの棒グラフが価格帯別出来高です。

見てみると、赤枠部分に突出している価格帯別出来高がありますね。

ローソク足の推移を見てみると、突出した価格帯別出来高の部分で値動きが折り返していることがわかります。

このように、価格帯別出来高には

  1. 価格帯別出来高が盛り上がった部分は値動きの転換点になりやすい
  2. レジスタンス・サポートラインとして機能し、ボックスレンジの目安となる
  3. 価格帯別出来高のブレイクで値動きが加速するケースもある

といった特徴があるんです。

 

価格帯別出来高が多い意味を考えよう

そもそもなぜ価格帯別出来高はレジスタンス・サポートラインとして機能するのでしょうか?

例えばサポートの場合。価格帯別出来高が多いということは「それだけ多くの投資家がその価格で売買をしたということ」であり、その価格を割り込むことで市場心理が悪化する可能性がありますよね。

極端な話、その価格を割り込んだら多くの投資家が含み損を抱えるわけなので、損切りを考える人や実際に売り払う人も出てきます。

多くの人が売ればそれだけ株価は下がるので、価格帯別出来高が多い価格を割り込んでは困るわけですね。

これは以前書いた出来高を伴った安値高値は割り込んではいけない!その原理とは?の記事と関連した考え方。重要なお話なので併せてチェックしておいてください。

ちなみに、価格帯別出来高が厚くなる条件としては

  1. 過去の値動きで長期間保ち合いを形成している
  2. 何度も転換点を形成した

といったことが挙げられます。過去の値動きを観察していて該当する箇所があれば価格帯別出来高も合わせて確認しておきましょう。

価格帯別出来高が多い部分は市場心理が収束した部分

価格帯別出来高が多いという意味はそれだけではありません。違う角度で考えると、市場心理が収束した価格とも考えられます。

株は人気投票という言葉があるように、市場参加者が売買を行う際には

  1. どの株を
  2. どれくらいの価格で
  3. どれだけ多く

という考え方が重要です。価格帯別出来高の場合は「該当銘柄をどれくらいの価格でどれだけ多く買ったか」がわかり、その傾向が強まる価格帯は市場心理が収束した価格帯だと考えられます。

したがって、

  1. その価格で市場参加者が買いたいと考えた
  2. 株の価値に対して割安と考えられている(と推測できる)

といった考え方もできます。

バリュー株であれば「セール価格だ!」と見直し買いが入ったラインとも捉えられますし、グロース株であれば「将来はここまで業績が伸びそうだ!」と考えられているラインと認識できますね。

価格帯別出来高を表示して確認する方法

価格帯別出来高は以下の方法で比較的簡単に確認することが可能です。

  1. SBI証券のスマホアプリもしくはホームページ
  2. 楽天証券のPCツール(マーケットスピード2)

それぞれ操作性が違ったり、チャート機能の差があります。ご自身に合うものをお使いください。それぞれの表示方法は

  1. SBI証券アプリ:チャート画面内の価格帯別出来高ボタンを押す
  2. SBI証券ホームページ:個別銘柄ページからチャート表示。チャート下設定で価格帯別出来高にチェック。
  3. マーケットスピード2:画面右上の「設定⇒基本設定⇒価格帯別出来高にチェック」

<SBI証券アプリ>

<SBI証券ホームページ>

<マーケットスピード2>

 

お手軽に確認できるのはスマホアプリで、以前はSBI証券のアプリでしか表示できませんでしたが最近では楽天証券のスマホアプリでも表示可能になりました。

価格帯別出来高の活用例

では実際の売買における価格帯別出来高の活用例を見てみましょう。最初に断っておくと、チャートに表示されている価格帯別出来高は執筆時点での状況です。そのため当時の状況と相違がありますが、考え方を解説するため今回はそういった事情は除外しています。

価格帯別出来高がレジスタンスになった例

 

流れとしては

  1. 上場後に大幅下落
  2. 底値圏で保ち合い開始
  3. 底練りから急騰するも4000~6000円の価格帯別出来高で抵抗を受ける

といった印象です。直近IPOの場合、そもそも上場した際の株価が割高であることも多いですよね。

そのためこういった「企業価値に合った株価に収束する」という意味での急落パターンも少なくありません。

よほど期待感のある成長企業であったり、その時期のテーマ性に合った銘柄でない限り急落も仕方がないのかもしれませんが。

このチャートも上場後に急落し、底練りに入っています。

ここで重要なのは、IPOの場合だと「上場直後の水準で価格帯別出来高が厚くなりやすい」という点です。上場直後ということは

  1. 初めて売買が行われた
  2. 新規上場で注目が集まり出来高増加

という状況なので価格帯別出来高として重要な水準というわけですね。

このチャートでは底練りから反発してきた際に、4500円~6000円前後の厚い価格帯別出来高がレジスタンスとして機能していることがわかります。もしあなたが底練り期間に保有していた場合には、

  1. うまく反発した場合には4000円までの値動きは軽そうだ(実は時価総額も小さい)
  2. ただし、4000円より上の価格帯は障害が多そう
  3. 価格帯が広いことと、5000円の強い節目が含まれているので突破は難しいかもしれない
  4. もし6000円を突破すれば7000円、もしくは青天井期待
  5. 価格帯別出来高の厚い部分を突破していくには、株価の後押しのためにも業績が伴っていくことが好ましい

などを価格帯別出来高から読み取っておけば良いでしょう。

価格帯別出来高ブレイクで株価上昇が進んだ例

状況としては、

  1. 上場後に上昇開始
  2. 上昇の過程で所々大きな出来高を形成したことで、上場時点より上の水準に厚い価格帯別出来高が発生
  3. 1000円の強い節目もすぐ上に重なっているので、これらをブレイクしたら値動きが軽くなると推測できる

といった感じでしょう。実際に・・・

 

出来高をしっかり伴いながら1000円の節目と価格帯別出来高をブレイクしたあとは、75%もの上昇を見せてくれました。

このように価格帯別出来高(+節目)に着目したブレイクで、値動きの加速を見破ることも可能です。

まとめ

いかがでしたか?今回は価格帯別出来高の考え方や活用方法を解説しました。

横軸の出来高が基本ですが、価格帯別出来高にも着目してあげると違った角度で値動きを観察できますので覚えておきましょう。

次の出来高関連記事は「出来高移動平均線とは?設定や表示方法、見方などを解説!」です。

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