セリングクライマックスの見分け方!チャートや状況変化を感じ取ろう!

    

株式投資の世界には「セリングクライマックス」と呼ばれる考え方があります。略して「セリクラ」なんて呼ばれることも多いですね。

セリングクライマックスは簡単に言えば「売りの最終局面がきてますよ」という意味として扱われています。しかし、セリングクライマックスには2つの意味があり、それをはき違えると大変なことになってしまうんです。

この記事では

  1. セリングクライマックスの2つの意味合い
  2. セリングクライマックスの判断基準

についてご紹介しました。セリングクライマックスについては色々な考え方があるかと思いますが、ひとつの考え方としてご参考下さい。

    

セリングクライマックスとは2つのチャートを表す言葉

セリングクライマックスを英語で表すと、

  1. Selling(売る)
  2. Climax(最高潮、極地、頂点)

という意味になります。

この言葉通り、セリングクライマックスは売りの最終局面という意味合いが込められてるんですね。

しかし、株式投資では一言で「売る」と表現しても色々な意味合いがあるわけです。

具体的には

  1. 利益確定の売り
  2. 損切りの売り
  3. 新規空売り

の3つが主でしょう。

ゆえに、セリングクライマックスも一般的な意味合いとは別に違う意味合いが込められているケースがあります。

一般的なセリングクライマックスのチャート

一般的には「セリクラがきた!」と言われたら

  1. 下げ相場の最終局面
  2. 底打ち

といった意味合いで使われていることが多いでしょう。すなわちチャートで言えば・・・

  1. 外部因子や強力なネガティブ材料の影響で強い下げ局面になる
  2. そこからいくつかの大きな安値をつけながら急落(暴落)
  3. 一般に窓開けや大きな出来高を伴うような大陰線を連発
  4. 最後にたくり線や十字線系、大陽線などのローソク足が出現

といった流れですね。

日経平均株価は米国や中国などの外部因子によって暴落することも多く、こういったチャートが出現することも珍しくありません。

年に数回は大幅な急落や暴落相場もきますので、セリクラの言葉を聞く機会もあることでしょう。

一般にこのセリングクライマックスは

  1. 外部因子やネガティブ材料などのトリガー
  2. 急激な市場センチメントの転換(楽観から悲観へ)
  3. タイミングが悪ければ追い証売りを伴いさらなる深掘り

が関わってくると言われています。

一斉に売りが出るので「出来高増加」を伴い、この売りの性質は「損切り売り」といった弱気なものです。

ただし、このセリングクライマックスが過ぎれば売り手はいなくなると考えられ、買い場がくることも多いでしょう。

底打ちや買い場の目安は後述します。

売り抜けのセリングクライマックスチャートとは

セリングクライマックスにはもうひとつ意味合いが込められています。

それは「機関投資家の利益確定売り局面」です。チャートで表すと・・・

このような「高値圏での売り抜け徴候」を示唆します。

すなわち、一般的なセリングクライマックスとは逆に

  1. 上昇トレンドの最終局面(高値圏で起こる)
  2. 出来高増加のまま突入した価格帯で上髭を連発
  3. 出来高が増えても一定の価格帯から上がれない状況

という流れを示しているわけですね。

この高値圏で起こるセリングクライマックスの売りは「利益確定売り」が本質で、この価格帯まで上げてきた機関投資家や本尊と呼ばれる人達が利食いしています。

もちろん、私は機関投資家でも本尊でもなんでもないのでこれは妄想に過ぎません。

しかし、実際のチャートでも・・・

このように、出来高水準が上がっていても

  1. ある一定の価格帯から上がれずに横ばい推移
  2. その中で上髭が散見

というケースは散見されます。

内部的に何が起こっているか誰にもわかりませんが、

  1. 出来高水準が上がった価格帯で売買が活発になる
  2. その後、急落局面が来る

という流れがあることは確かです。

セリングクライマックスの見分け方

セリングクライマックスには売り抜けと底打ちのチャートがあると述べました。

そのうちの「売り抜け」は前述のような「高値圏での出来高増加+上髭」に注目すれば、比較的簡単に見分けることが可能でしょう。

したがって、ここでは主に「底打ちのセリングクライマックスの見分け方」について述べます。

大暴落からセリングクライマックス・・・とまで言えなくても、急落局面で底打ちしたかどうかはチャートからなんとなく伝わってくるでしょう。

一般的に、セリングクライマックスや底打ちを判断する基準として

  1. 出来高
  2. ローソク足
  3. 安値高値
  4. 移動平均線
  5. ネガティブ材料の緩和

があります。

見分け方その1:出来高

セリングクライマックスや底打ちを見分ける上で、出来高は非常に重要です。

後述する安値や移動平均線などは好発的な判断材料ですが、

  1. 出来高
  2. ローソク足

に関してはセリングクライマックスと共にシグナルが発生するからです。

例えば、日経平均の急落場面をいくつか見てみましょう。

図の青枠部分で囲われた出来高は、どれも直近水準で増加傾向にありますね。

どーんと急落すると同時に出来高が増加して、売りたい人は売りましたよーとなんとなくチャートから伝わってきます。

ただし、それ以上の出来高がくるかどうかはもう一段下げてみないことにはわからないです。

逆に言えば、もう一段深掘りしても出来高が大して増えないのであれば打ち止めの可能性もあるわけですが。

いずれにせよ、その他の判断材料も考慮しながら出来高を考察する必要があるでしょう。

見分け方その2:ローソク足

先ほどの急落チャート例をもう一度見ていただけますか?

短期的に急落する場面では窓開け(三空叩き込み)から、たくり線・十字線系のローソク足などが発生する流れが多いです。

また、十字線やコマの発生が明けの明星やアイランドリバーサルといった状況になりやすいでしょう。

その他にも、後述するような過去の重要な安値に併せて下髭が発生したりとローソク足から底打ち示唆を感じ取れるケースも少なくありません

出来高を伴って特徴的なローソク足が頻発したら、現在の価格帯がどのような位置か確認していくと底打ちシナリオがなんとなく見えてくるでしょう。

売り抜けのセリングクライマックスでは、「出来高が増加しているのに上髭優位のローソク足が頻発する」という状況に変わったら要注意です。

ローソク足で値動きを判断するための関連記事は以下。

見分け方その3:安値高値

株を売っているのも、株を買っているのも相場に参加している人間です。

市場参加者が意識するのは「どの価格まできたら買おうかな(売ろうかな)」ということですよね。

それには過去の安値高値が一定の物差しとして活用されることが多く、

ある安値を抜けたら次の安値まで行く

といった性質が見られることがあります(高値も同様)。

その過程の中で大きな安値が複数つき(2番底や3番底)、最終的に行き着く安値が過去の安値なんてこともあるわけです。

また、過去に何度も下落を防衛してきたような重要な安値の場合、意識される場面はより多いですね。

例えば・・・

このチャートでも過去に大底となった安値が、それ以降意識されていることがわかります。

ふるい落としのような状況になったり、支持帯として作用しているのが印象的ですね。

過去の安値が未来の安値として作用するかは、その価格にきてしばらく経たないとわからないことではあります。

しかし、重要な安値は記憶しておき、その安値にどのような状況(ローソク足や出来高)で達したか考えるべきです。

見分け方その4:移動平均線

株価が急落して大きく下げた場合、移動平均線の並びは上から

  1. 長期
  2. 中期
  3. 短期

となるのが普通です。

その中でもセリングクライマックスで意識されやすいのは

  1. 中期線(25日線)
  2. 長期線(75日線)
  3. 超長期線(100日線、200日線)

でしょう。例えば・・・

図のようにローソク足や出来高から底打ちが示唆されたあと、25日線を越えて維持できるかはひとつの目安です。

また、25日線を越えても長期線や超長期線が待ち構えているので・・・

そのラインにトライした時の強弱感はどうか、という点も見られるでしょう。

この例では200日線(ピンク線)に到達したものの抵抗を受けて急落してしまいました。

これらの考え方は安値(底値)をつけたあとに考えられることであり、確証を深めるような意味合いがあります。

  1. あのローソク足が
  2. あの出来高増加が
  3. あの安値が

やっぱり底だったのね、と言うためには移動平均線を超えてセンチメントを良くしていく必要があるというわけです。

ちなみにもし200日線に負けたとしても、その底値は支持帯になっている可能性はあります。

見分け方その5:ネガティブ材料の緩和

前述のように、株価急落は外部因子やネガティブ材料が関係することが多いです。例えば、

  1. 米中貿易戦争の懸念
  2. 北朝鮮など地政学的リスク
  3. ブレグジットや米国景気後退の懸念
  4. 個別企業の新規事業参入リスク
  5. 四半期決算の進捗、通期業績への懸念

などですね。

うまく言えないのですが、そういった不安を抱えながら株価が下がり、その不安がしっかり解消されないまま買われるとまた深掘りして・・・という印象はあります。

したがって、テクニカル的な底打ちを確認するだけでなく「ネガティブ材料の解消や懸念後退」にも気を配るべきでしょう。

米中問題であれば

  1. 両国の交渉が再開したか
  2. 問題解決の進展が見られ始めたか
  3. トランプ大統領の発言に市場が反応しなくなってきたか

といったことが挙げられます。

懸念後退というのは再燃してはまた後退して・・・と繰り返されることが多く、それに株価がどう反応しているかは重要です。

ミサイルも発射されすぎて、もはや反応する人も少ないですよね?

その状態で地政学的リスクが騒がれることはあまりないわけです。

本当に解決するかは別として、材料の後退や市場の反応は見ておくべきでしょう。

セリングクライマックスで買うべきか

機関が売り抜けしているところで買う必要はありませんが、底打ちという意味でのセリングクライマックスでは買うべきでしょうか?

結論的には「下げ止まったなと感じたら買うべき」でしょう。

セリングクライマックスはまだ下げている最中であり、下げ止まっているわけではありません。

ただし、今回お話したようなことを考えながら下げ止まるかどうか監視するんです。

監視した結果、目先の安値が決まったと感じたのであれば少しずつ買っても良いでしょう。

なるべく下げている最中は買わずに、わかりやすい安値が確認できた段階で資金を投入するようにしてください。

その最も具体的な考え方として「二番底」があります。

二番底については関連記事で解説していますのでご参考ください。

<関連記事>

まとめ

いかがでしたか?今回はセリングクライマックスのチャートと、その見分け方についてお話しました。

セリングクライマックスの意味合いを間違えないことと、自分なりに底打ち判断をしていくことが重要です。

底打ちを確認している段階は慌てず、もし下げ止まったらどれを買おうか考えておくと良いですね。

関連記事には

がありますので、こちらもご参考下さい。それではまた!