注文をちゃんと出したのに株が買えない!こんな場合は理由がわからず焦ってしまいますよね。
株の注文を初めて出す時はドキドキするものですが、せっかく勇気を出したのに買えなかった時ほど悲しいものはありません。
この記事ではそういった「株が買えない場合」についての4パターンをまとめてみました。
なぜ自分の注文が約定しないのか悩んでいる初心者さんはぜひご参考下さい。
株が買えない場合の4パターンとは
では早速、株が買えない場合をいくつか述べていきます。これらは私が初心者時代にぶつかった疑問を思い返しながら書いたので、比較的ありがちなパターンではないでしょうか。
単純に資金不足なケース
まず思い当たるのは単純に資金不足というケースですね。この場合はそもそも注文すら出せないのでしょうが、初心者さんは「あれ?なぜ注文が出せないの!?」と驚いても無理はありません。
参考として2021年1月時点の株式市場における価格別分布を見てみましょう。一覧にするとこのような感じになっています。
上記の表では株価を10万円刻みで区切った時にどれくらいの銘柄が該当するのかを一覧表にしてみました。これを見た限りでは上場企業の多くが上の方に集中しています。
ということは仮にあなたの投資資金の総額が30万円であれば、全体の82%ほどが買えることになりますね。そう考えると結構守備範囲は広いんだなと感じますが注意点もあります。
それはよく行われている
- 分割購入:同じ銘柄を複数タイミングで買う
- 分散購入:複数銘柄に分けて資金を投入する
といったことが株価によってはしづらいという点です。前者は購入タイミングを分散することで、後者は資金を分散することでリスク低減を行っています。
こういったことをしたい場合はより株価が小さな銘柄でないと買えないことが増えるので注意してください。
ちなみに、「買おうとしている銘柄の株価と最低単元数で計算したときに資金が足りているのに買えない」というケースもあります。それは「現在価格で計算した時に資金がギリギリ足りている」という状況で成り行き注文を行う場合です。
成り行き注文とは株価がいくらであっても即座に買うという注文方式ですが、これを行うためにはその銘柄の最大制限値幅で計算しても資金が足りていなくてはなりません。
制限値幅というのは当日中に値動きできる最大の幅のことで、価格帯によって変動しますので以下をご参照ください。
参照リンク:内国株の売買制度|日本取引所グループ
例えば株価が1200円の銘柄を100株買う場合、指値であれば資金が12万円あれば良いですよね。しかし、成り行きで買う場合は1200円の制限値幅である300円を足した1500円で計算しなくてはなりません。したがって
- 1500円 × 100株 = 15万円
が成り行き注文を出すのに最低限必要なお金になります。
これは成り行き注文が約定するまでにどれほど株価が動いても大丈夫な状態で注文を出すために設けられたルールです。
要は「どれほど動いたとしても当日中に動ける最大価格で資金を計算しておけば問題ないでしょ」というわけですね。指値計算で資金が足りていても成り行き計算だと足りておらず買えない場合があるので注意してください。
ちなみに、そういった場合は現在価格より数段階上の価格で指値をしてあげれば成り行きのようにその時の最良価格で約定します。
<関連記事>
資金が足りているのに買えない場合
資金が足りていて指値注文を出せたのに買えないというケースもあります。それは自分が注文した価格に到達していないので買えない場合ですね。
指値はその価格で買いますよという注文方式なので、その価格に到達するまでは自分の手元に株はきません。したがって待つ以外に方法はないです。
指値価格にきたのに買えない場合
ただし、指値価格にきても買えない場合もあります。例えば100円に指値していて株価が100円まできた場合でも買えない可能性はあるということです。
というのも指値した人の注文は基本的に先着順で約定していくからです。
これは株式市場の
- 指値:時間優先で先着順
- 成り行き:価格優先ですぐ約定
という仕組みが関係しています。
つまり100円で指値したのに買えない場合というのは、まだあなたの順番にきていないからかもしれませんね。
順番がくる前に上の価格で約定が続いてしまい、あなたの注文が値動きに置いて行かれてしまうこともあるでしょう。
ただ個人的には、だからといってすぐさま成り行き注文に変える考え方はあまり良くないと思います。なぜなら
- もう少し待てばまた値下がりしてくるかもしれない
- なるべく自分が考えていたベストポジションで保有する方が後悔しない
からです。なので、私は指値が約定しなければ縁がなかったと諦めるようにしています。
<関連記事>
成り行きでも買えない場合
成り行きでもすぐに買えない場合、それは
- 特別買い気配
- ストップ高気配
- 売買中止
という状況になっているからかもしれません。
株式市場では極端に大きく値動きするほど買いが集まった場合は特別気配という表示にして少しずつ約定させていくシステムになっています。
こういった場合はその銘柄の板を見てあげれば「S」の表記などが買い気配についているので一目でわかりますよ。特別気配の場合は成り行き注文から約定させていき、それが終わったら指値注文を約定させていきます。
順番がくるまでは成り行き注文でも買えないので、どうしても欲しければ順番を待つしかありません。
ただし、投資家さんの中には特別買い気配を嫌う方がいることも確かです。その理由は
- 自分が欲しい価格よりはるかに上に行ってしまうことも多い
- あまり人気化すると下落リスクも高まる
といったことが挙げられます。前日比から多少乖離する程度なら良いですが、私もあまりに高く昇ってしまう場合は指値放置の方が良いと思います。
また、いつまで経っても新規注文が止まずに特別買い気配が継続し続けた場合や当日の上昇力が強すぎた場合はストップ高気配という状態になるでしょう。
これは先ほど述べた最大制限値幅に到達してしまったという意味で、これが大引け(当日の市場が閉まる時間)まで続いた場合は抽選で買える人を決める仕組みになっています。
これを比例配分方式と呼び、この場合は成り行き注文であろうと
- すぐに買うことはできない
- 抽選に当たらないと買えない
ということになりますね。
ただし、場合によっては大引けまでストップ高気配が続かず大引け前に約定するケースもあります。そういった場合は大きく急落するかもしれませんし再度ストップ高に張りつくかもしれません。要するにどういった値動きになるかは完璧に読み切れないので、不要なリスクを取りたくないという人は大引け直前に成り行き注文を入れて抽選に参加しても良いでしょう。
<関連記事>
ちなみに株式市場ではごく稀に売買中止という措置が取られることもありますね。これは特定銘柄にとびきり大きなニュースが飛び込んできた場合などに起こり、市場がパニックにならないよう設けられたルールです。
例えば過去にはLINEとZホールディングスが経営統合すると報じられた際に、寄り付き前の時間帯ではあるものの一時停止という措置が取られています。
ちなみに過去には
- 証券会社側の取引システム障害で売買ができない
- 東証側のシステム障害で市場全体の売買が停止された(2020年10月1日)
ということもありました。これらのケースは通常の売買停止とは違ったものですが、いずれにせよ「おかしいな、なぜこの銘柄は売買できないのか」と感じたら
- 個別銘柄の板状況をチェックする
- 複数銘柄の売買状況を確認する
- 自分以外に売買ができない人はいないか情報を集める
といったことも必要でしょう。
買い手がいなければ売れない
ところで、ここまで買い目線で色々と書いてきましたが中には売り目線でも同様に言えることがあります。
例えば売り指値をした場合、
- その価格まで上昇しないと売れない
- 到達しても順番がこなければ売れない
- 指値より成り行きが優先される
といった具合ですね。
指値する際にはこういった基本的なことをしっかりと考えながら注文を出すということが大事だと思います。自分にとって理想的な利食い位置だとしてもそこに買い手がいなければ売れないということがとても重要で、
- その価格に到達するほど買いが優勢なのか
- ギリギリ到達するかどうかのレベルなのか
といったことをいつも考えています。
仮にギリギリ到達してくれるかどうかといった判断であれば全ての売り注文を理想的な位置に置くのではなく、少し幅を持たせながら売り指値を散らす分割売却を心がけるべきです。こういったちょっとした工夫が売れないや買えないという場合を減らしてくれるので、どこまでなら売り手や買い手がいそうなのかを意識してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は株が買えない場合をいくつかのパターンに分けてご紹介しました。これらは私を含めて初心者さんが陥りやすいものだと思います。
その原因には資金不足など単純な理由もあれば株式市場の仕組みが関係しているものもありましたよね。知らなければずーっと疑問のままですが、この記事がどなたかの役に立てば幸いです。
また、最後に述べた売り手や買い手がどこまでいそうなのかという点はこれから先の売買すべてにおいて大事な要素だと思います。チャートや板の状況をしっかりと把握して最適な位置に注文を置きたいですね!