株の業績相場とは?実例でわかる思惑買いと現実買いの違い!

    

どうも、ひげづら(@higedura24)です。

株式投資の世界では業績がしっかりとしていて将来有望な株に資金が集まりやすいと思います。

ただ、その一方で業績が良くないにも関わらず急騰する株もありますよね。

業績が良くないのにどうしてそのようなことが起こるのでしょうか。

この背景には株式投資の世界ならではの特性や習性が関係していて、

  1. 思惑買い
  2. 現実買い

の違いがあるからです。

この記事では

  1. 思惑買いと現実買いの違い
  2. 業績相場が訪れるタイミング

などについて述べました。

どんな株を買っていくのかは色々な考え方がありますが、ひとつの意見としてご参考下さい。

    

思惑買いと業績相場(現実買い)

株を買う時に最もよく見なければならないのは企業の業績です。

といってもこれは中長期の売買目線になるほど大事な要素なので、短期売買を繰り返すような人には関係ありません。

極端な話、明日株価が反応する理由があればそれで良いわけなのでその日暮らしに買う銘柄を変えてもおかしくないでしょう。

逆に言えば中期以上の目線なのに業績も見ないし将来的なカタリストも考えないというのはおかしな話で、それでは目をつぶったまま吊り橋を渡っているようなものです。

そういった人達は遅かれ早かれ真っ逆さまに落ちて激流に流されてしまってもなんら不思議ではありません。

ただ、冒頭で述べたように業績とは関係なく中期的に上がる株も存在します。

この理由は「投資家が将来的な業績向上を見込んで買っているから」に他ならず、いわゆる

  1. 思惑買い:業績が良くなるであろうという思惑のもと人気化する
  2. テーマ相場:特定テーマに関連した銘柄が集中的に買われる

といったものです。

上記のような分類の買いは「理想買い」とも呼ばれ、いわば投資家の願望が強い銘柄に資金が集まった結果と言えます。

ここで注意したいのは、思惑買いのほとんどは業績なんか全く向上せず単なる思惑やブームで終わることです。

しかし、中にはちゃんと業績に反映されるものもあって、これが判明するタイミングは決算にほかなりません。

ここからが「業績相場」と呼ばれる相場の第2幕と考えられ、こういった「業績が実際に向上した現実」を確認してから買われる相場を「現実買い」と呼びます。

思惑買いと業績相場

思惑買いと業績相場の違いはどのようなものが考えられるかというと、

<思惑買い(理想買い)>

  1. 投資家の思惑によって株価が上昇する
  2. 思惑なので理想は膨らむばかりで、それにつられて株価も急騰しやすい
  3. 思惑が膨らむ時間が長いほど株価上昇期間も長い
  4. 業績向上の前に株価が急騰するのでPERがかなり高くなる
  5. 株価に過熱感が出やすく、下るスピードもかなり速い傾向
  6. 市場からの人気度合いにもよるが、高値から落ちても何度か反発がある(高値更新となることも)

<業績相場(現実買い)>

  1. 業績を理由に買われ、業績織り込みがアップデートされながら株価が上がる
  2. 業績という数字を目安に動くので理想買いより急騰度合いは弱い傾向(高値更新しないという意味ではない)
  3. 株価が上昇しても、業績向上によって過熱感はなくなる(時間をかけて業績に準じた株価水準へ)

といったイメージです。

特に重要なのは・・・

業績相場とPERの適正化

このように思惑相場で上げたPERが業績相場(業績向上)によって下がる(適正水準に近づく)過程でしょう。

ちなみに、この図は私が考えたものでなく

この本に載っている図を参考にさせてもらいましたが、かなり的を得ているものだと感じました。

もちろん完全にPERが15倍程度まで下がるわけではないでしょうが、思惑相場で100倍近くまで昇ったPERが株価調整によって適正水準になっていくのは間違いありません。

本ではヤフーを例にわかりやすく解説されているのでぜひ皆さんも読んでみて下さい。

思惑買いと業績相場では注目されているカタリストが違う

上記の本では「理想買いと現実買いでは注目されるカタリストが違う」とも述べられていました。

ここでは、この部分について私なりに考えてみたいと思います。

おそらくですが、理想買いは思惑先行で進んでいく相場なので

  1. なるべくインパクトのある材料が好まれる
  2. それによって株価上昇の初動が始まる
  3. 投資家がワクワクして、煽りやすいようなネタほど急騰しやすい

という性質があるのでしょう。

例えば大企業との資本業務提携や話題のテーマに関連した材料などは代表的なものですし、大きなネタが出たあとに株価が何倍にも膨らむケースはあります。

一方で現実買いや業績相場と呼ばれる時期は

  1. 決算の好進捗
  2. 期待が膨らむ通期・来期の業績予想
  3. 高い増益率や最高益達成
  4. 増配や優待新設

など数字によって「まだまだ会社は大きくなりそうだぞ」というイメージが継続されるような材料が好まれるのでしょう。

初動を起こしたネタやそれ以外の要素が実際に業績に反映されたことが明確にわかり、それが増益率となって表面下することが求められているわけです。

株価を表す計算式には

  • 株価=PER × EPS

というものがありますが、このうちの

  1. PERを刺激するもの:理想買いで注目されるカタリスト
  2. EPSを刺激するもの:現実買いや業績相場で大事なカタリスト

ではないでしょうか。

ちなみにPERは株価収益率の略で、何年先の株価まで織り込んでいるかがわかる割安性指標。

そしてEPSは1株あたりの利益で、業績が上がることで向上していくものですね。

理想と現実のどちらを狙うべきか

思惑買いではPERが高い(株価の過熱感が高い)状態で買うためリスクがそれなりにありますが、株価急騰メリットを考えれば大きなリターンも見込めます。

業績相場では決算という数字を材料に自分なりに進捗を考えやすく、目安があるという点で大きなメリットがあるでしょう。

また、業績相場の勢いは思惑買いに及ばないでしょうが、業績が向上する時期は安定感がありますし2倍や3倍程度なら十分に見込めるイメージです。

こういった点を考えていくと

  1. 短期間にテンバガ-になるべく近い急騰を狙うのであれば思惑買い
  2. 中長期でじっくりと株価上昇を狙いたいのであれば現実買い

が良いのかなと思います。

ただし、思惑買いを上手にするためには

  1. 日頃から色々な媒体に気を配り、どんなテーマ株があるか把握しておく
  2. ひとつの材料からいくつも先読みする力
  3. 大きな値幅に振り回されない胆力
  4. 関連銘柄が複数あった場合でも中心銘柄を考える力
  5. どんな銘柄がどんな理由で動いたか記憶していく力

などが必要という意見です。

私はこういった点であまり高い能力を発揮できないタイプだと感じているので、時価総額がそれなりに育った銘柄や中大型株の業績相場が向いていると自己分析しています。

中には類い希なるセンスでバシバシ思惑相場に乗っている方もいるようですが、前述の通り大きなリスクも伴うものなので自信が無い方は素直に株そのものの現実的な価値で勝負してみてはいかがでしょうか。

思惑で買って事実で売ったあと

株の世界には「思惑で買って事実で売る」という相場格言がありますよね。

この意味は

  1. 株価は思惑の時点が一番上がる時期だ
  2. 事実だとわかった時には株価がその水準まで織り込まれている
  3. だから事実になる前に買って、事実になったら売る

というものです。

この格言は現実買いを否定しているようにも聞こえますが、個人的には業績相場より前段階のことを言っていると感じます。

というのも「思惑で買って事実で売る」というのは思惑相場の終わり際を示すものであり、業績相場はそこから株価調整が行われたあとに来てもおかしくないからです。

確かに思惑が事実になり始める頃には大きく株価が上がってしまっている状態なので、そこで買うのは高値掴みになります。

しかし、大事なことはその株を継続監視しておくことではないでしょうか。

例えばヤフーが大株主になっていることで有名なバリューコマースは・・・

バリューコマースで見る思惑相場と業績相場

  1. 2012年から2013年相場で株価15倍以上
  2. 思惑が業績に表れず、3年ほど株価調整
  3. 2017年から増益率の拡大が始まり株価10倍弱(PER20倍程度)

となっています。

さすがに3年も継続監視することは難しいと思いますが、イメージとしてはこんな感じでしょう。

有望株でも過熱感があれば大きく株価を戻すことは十分にあり得て、現実と折り合いがついたところで再上昇してもおかしくないですね。

まとめ

いかがでしたか?今回は思惑買いと業績相場についてお話しました。

思惑買いは株価が最も上昇する時期ですが、投資家の期待だけで動いているため値動きが大きくリスクも高いです。

思惑相場の調整も終わって実際に数字に表れた時には業績相場となり、中長期的に上昇を狙うことができます。

思惑相場と業績相場では注目されるカタリストも変化していて、そういった特性を考えながら値動きを見ていくことが大事でしょう。

相場格言の中には「思惑で買って事実で売る」というものもありますが、これは思惑相場の終わり際のことを示していて業績相場より前段階の話だと思います。

有望株の過熱感がなくなって上昇に転じた際には現状を把握しながら狙っていきたいですね。

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