投資の世界にはリスクリワードレシオという言葉があります。これは株式投資だけでなく、FXや仮想通貨など様々な分野で考えるべきことです。
簡単に言えば「リスクと利益どちらが大きいですか?」というお話で、一般的には単なる割り算で計算しています。しかし、個人的にはそれだけで済ますことは非常に危険だと考えていて、この記事では
- リスクリワードレシオの基本知識
- リスクリワードレシオの定量的な要素
- リスクリワードレシオの定性的な要素
- 定量的なことのみを考える危険性
についてお話したいと思います。難しい言葉が並んでいますが、かみ砕いてわかりやすくお伝えしますのでご安心ください。
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リスクリワードレシオとは
リスクリワードレシオとは「危険(リスク)」と「報酬(リワード)」の比(レシオ)を表す言葉で、株やFXなどのトレードにおいては
- リスク:保有価格から損切り価格までの値幅
- リワード:保有価格から利食い価格までの値幅
がどれくらいの比率なのかを表すことが一般的です。
リスクリワードレシオは
- プロフィットレシオ
- ペイオフレシオ
なんて別名があります。
リスクリワードレシオをチャートで表すと・・・
- 黄色線:エントリー位置
- 赤線:損切りライン
- 青線:想定利食いライン
という場合の、黄色から赤線までがリスク(損切り幅)で黄色から青線までがリワード(利食い幅)となります。
こうやって自分がどんなトレードを想定するかラインで表したときに、リスクリワードがどれくらいの割合になるかを数値化することがリスクリワードレシオの基本的な考え方です。
計算式で表してみよう
レシオは比率という意味なので、計算式として表すことが可能です。
その計算式は
- リスクリワードレシオ=利食い幅÷損切り幅
という非常にシンプルなものなので、誰でも簡単に計算できてしまいますね。
例えば、想定利食い幅が100円かつ想定損切り幅が50円だった場合には
- リスクリワードレシオ=100円÷50円=2.0
という結果になります。
ただし、単純なリスクリワードレシオは上記のように計算しておき、これを同じトレード手法で何度も繰り返さないと真のリスクリワードレシオはわかりません。
10回・100回・1000回と繰り返した上で実際の利食い幅と損切り幅の平均値を取ってあげることが大切というわけです。
例えば100回の平均値で計算した場合でもリスクリワードレシオが変わらず2.0だとすれば、そのトレード手法のリスクリワードレシオはこれくらいなんだなと認識できるでしょう。
- 平均リスクリワードレシオ=平均利食い幅÷平均損切り幅
リスクリワードレシオの目安と勝率について
上記の平均リスクリワードレシオを算出することの付加価値として「勝率」が挙げられます。
100回の平均値を取った時には必ず
- 何回勝って
- 何回負けた
という情報があなたのメモ書きには残っているはずですよね。
この情報を追加してあげれば、このトレード手法は勝率70%のリスクリワードレシオ2.0という所まで認識できるメリットがあります。
もし勝率が80%でも、損切り幅がはるかに大きなトレードではリスクリワードレシオが低い値となります。
その場合はいわゆるコツコツドカンと言えるので、勝率が下がったとしてもトレード手法を変更してリスクリワードレシオを上げる必要があるでしょう。
ちなみに、実際のトレードでは必ずしも1回で利食いするわけではないですよね。
したがってリスクリワードレシオの計算も純利益や純損失を活用して構わないと私は考えています。
(純利益や純損失を活用して計算したものを「プロフィットファクター」と言うようです。)
もしくは自分の利食い幅は無視して、最終的にどれくらいまで高値を目指せたかで考えても良いかもしれません。
ただし後者の場合は自分の実際のメンタル面(ここまでしか含み益を引っ張れなかった)という要素は無視していることに注意です。
そのため金額と実状高値など複数パターンで計算する方が後々役に立つと思います。
また、計算した結果として優秀だったと考えられるリスクリワードレシオ目安は3.0です。
これは利食い幅が300円の時、損切り幅を100円に抑えるという意味ですね。
要するに損切り幅の3倍くらいの利食いを繰り返していく必要があり、毎回達成できるトレード手法も少ないかもしれません。
個人的にはリスクリワードレシオ2.0以上を目指せばいいかなと考えているので、損切り幅の倍くらいの値幅が取れていれば及第点だと思います。
これを達成しつつ回数を重ねて改良してあげれば、もっと良い結果にできるイメージです。
リスクリワードレシオと損益分岐点の位置
リスクリワードレシオは計算式を見てわかるように、損切り幅を小さくしてあげれば簡単に上昇させられます。
勝率は結果として確認するべきですが、要するにできるだけ転換点まで引っ張って損益分岐点が安い所にくるようなエントリーをしてあげれば良いわけです。
転換点はすなわち「割り込んだら損切りする価格」ですから、引きつけてエントリーしてダメならすぐ損切りという手法を取ることになります。
例えば・・・
こういったトレンドラインに沿った規則正しい値動きをしている株を買った場合を考えてみましょう。
見てわかる通り、カクカクと規則正しく折れ曲がった値動きなので「赤線まで押したところ」がエントリーポイントとなります。
リスクリワードレシオを高めたければできるだけこの赤線まで引きつけて買うことがコツで、
- 赤線を割ったらすぐ損切り(リスクを小さく)
- 青線までは利益を引っ張る(リワードは大きく)
という投資行動で損益分岐点を下げることが可能でしょう。
こういった状況のみを狙い、なおかつ必ず赤線まで引きつけるトレードを心がければ、繰り返すことでリスクリワードレシオが向上するわけです。
引きつけるということはトレード回数が減るデメリットがありますが、これは勝率にも寄与するメリットでもあります。
基本的な考えとしてこういった意識を持っていれば、前述のような目安など関係ないのかもしれませんね。
株のリスクリワードレシオは少しだけ特殊
リスクリワードレシオに関する基本的な計算式や考え方はお伝えできたかと思います。
ここからがこの記事の本題で、株のリスクリワードレシオには計算することで簡単に導ける「定量的(数字的)」な要素以外のものがあるんです。
それは企業実態や材料、もしくはそれらの信頼性や市場思惑など数字では測れない「定性的」な要素ですね。
私の個人的なイメージですが、「FXもしくは仮想通貨」と「株」におけるトレードの大きな違いは「豊富な材料」と言えます。
株式市場には毎日のように新しい材料が飛び込んできて、それに関連した銘柄が動意づいているのが最大の特徴ではないでしょうか?
新興株であれば簡単にストップ高になり、大型株でも容易に3%や5%などの上昇率を見せてくれますよね。
また、材料が出るタイミングはザラ場だけでなく多くの兼業投資家が仕事を終え、晩御飯を食べたり、寝る前の自由時間にも発生しています。
ゆえに誰もが同じスタートラインに立っていて、これはチャート・・・というか厳密には値動きに影響していることにお気づきでしょうか?
あまり深くは言えませんが、これこそが株のリスクリワードレシオが特殊と言える根拠です。
例えば、ある銘柄に「新商品を開発しました!」という材料が出たとしましょう。
ここで考えるべきはチャート上のリスクリワードレシオではなく、材料に乗っかることのリスクとリワードですよね。
具体的には、「ちゃんと市場の思惑通り将来の業績に反映されますか?」ということです。
将来の業績に反映されなくても「市場の思惑買いは強そうですか?」というリスクリワードレシオでも良いかもしれません。
- リスク:市場の思惑が弱い
- リワード:思惑買いが続いて株価上昇
ですよ。
ゲーム株やバイオ株は思惑買いが強いのですが、材料の信頼性に欠けるのがネックです。
だからいつまでも上がらないし、いきなり奈落の底へ突き落されるのでしょう。
だから定性的なリスクリワードレシオとしては魅力にかけていて、チャートがどんなに良くても買いたくはないんです。
株にはチャート上のリスクリワードレシオとは別に、こういった特殊な要素があると思います。
また、デイトレに限って言えば気配値を見ることでFXなどと違ったリスクリワードレシオが生まれますよね。
単純にチャートだけでトレードしてリスクリワードレシオがどうだったではなく、「板状況を見た際の期待値がどうか」です。
これもFXとは違った別の要素が入ってきていて、株ならではの特殊なリスクリワードレシオではないでしょうか。
材料や気配値を無視したとしても、株は企業であり実態があるものです。
チャートだけではなく、
- 時価総額
- 将来業績
など見るべき点はたくさんありますよね。
まとめ
いかがでしたか?今回はリスクリワードレシオについて考えを述べました。
単なる数字だけ見るのであれば簡単な割り算で算出でき、トレードを繰り返すことで手法の期待値を測ることが可能です。
また、なるべく引きつけたエントリーを心がければそれだけでリスクリワードレシオを高めることは可能でしょう。
ただし、株においてはそういった定量的な要素とは別に、企業実態や材料など自分の考え方や価値観が大きく影響する部分があります。
これは株におけるリスクリワードレシオの特徴で、しっかりと内容を吟味する必要があるのではないでしょうか。
定性的な要素は経験値がモノを言うので、意識していく必要がありますね。
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