時価総額目安と理論株価!ストップ高を絡めつつ詳しく解説!

    

どうも、ひげづら(@higedura24)です。

みなさんは株式投資を行う際に時価総額を気にしていますか?

株式投資ではどうしても株価に目が行きがちですが、実は企業の価値は株価で測れるものではありません。

この記事では、株価の値動きや市場センチメントに大きく関わる「時価総額」についてできるだけわかりやすく解説しました。

初心者さんにはなるべく最初に知っておいていただきたい内容です。ぜひ参考にしてみて下さいね。

    

時価総額と株価と発行済み株式数とは

まず最初に単語の説明を簡単にしておきます。

  1. 時価総額:その瞬間の企業価値を数字で表したもの。株価や発行済み株式数で算出。
  2. 株価:その銘柄を1株購入するのに必要な価格。
  3. 発行済み株式数:企業が発行できる株式のうち、すでに発行している株式数。株式分割などで変化。

これらの単語は株式投資をする中でよく耳にする単語でしょう。

初心者さんの中には株価が企業価値を示すものだと勘違いされている方も多いですが、実は時価総額こそ企業価値を示す数字というのが基本的な解釈です。

また、時価総額と株価、発行済み株式数にはこんな関係があります。

  • 時価総額=株価 × 発行済み株式数

この計算式を見てもわかるように、時価総額・株価・発行済み株式数は互いに連動しあう関係性があります。

つまりどれかが変化すると何かしらが変化するということです。

身近なケースだと「株式分割」なんかがそうですね。

株式分割とは流動性を上げるために企業側が発行済み株式を増やすことを言います。

株式分割では分割割合に応じて、時価総額を変えずに発行済み株式数を増やしてます。

例えば、

  1. 時価総額:1000億円
  2. 株価:1000円
  3. 発行済み株式数:1億株

という企業が2:1の割合で株式分割を行った場合、

  1. 時価総額:1000億円
  2. 株価:500円
  3. 発行済み株式数:2億株

と発行済み株式数が2倍になったことをかき消すために、株価が2分の1に変化します。

上記計算式の中でお互いにバランスを取っているというわけですね。

株式分割と同様に、日々の株価変動においても発行済み株式数が変わらずに株価が変動しているので、時価総額が変動していくということが起きています。

株価で企業価値を測れない理由は発行済み株式数の違いによって時価総額の大小が決まってくるからです。

業界のNo1やNo2というのは時価総額の大小のこと。時価総額が大きくても発行済み株式数が桁違いであれば株価は小さくなり、No2のほうが株価が大きいなんてこともあり得ます。

時価総額と浮動株

前述のように時価総額と株価と発行済み株式数は深く関わっています。それをふまえて「時価総額が小さい銘柄」について考えてみましょう。

時価総額が小さいね、と言われる目安は数百億円くらい。数十億円であればかなり小さい部類に入ります。

前述のように

  • 時価総額=株価 × 発行済み株式数

です。株価は大体3桁~5桁。時価総額が小さいということは時価総額が10桁くらい。

すると必然的に発行済み株式数の桁数も5桁から7桁(万~百万株)くらいに決まってきます。

さらに時価総額の小さい銘柄では、発行済み株式数のうち市場に出回っている株数はそう多くない可能性が高い。

なぜならば役員や経営者が大半を保有することで会社の議決権を保持しているからです。

もっと言えば残りの株数のうち証券会社や投資信託が保有している分も市場に出回りづらいです。

そうなると発行済み株式数のうち市場に出回る株は数10%を下回ることだってあるんですね。

これはどういう意味かと言うと市場に出回る少ない株数の売買によって株価が大きく影響を受けやすいということ。

一般にこの「市場に出回って自由に売買されている株」のことを「浮動株」と言います。

時価総額の小さい銘柄ではこういった背景から株価変動が大きく仕手化しやすい特徴があります。

浮動株が少ないと個人レベルの資金でも買い占めがやりやすく、板も薄くなりがち。

弱小個人投資家をマインドコントロールするような情報を計画的に流しながら日数をかけて集め、ある日突然に需給以上の注文を浴びせて急騰させることだって出来ます。

時価総額の小さい銘柄ではその徴候を読んでデイトレやスイングで大きな利益を得ることも可能ですが、反対に大きな損失を被ることもあるので注意です。

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大型株・中型株・小型株とは

株式投資の世界では銘柄を時価総額の大小によって分類しています。

分類名称と分け方としては

  1. 大型株:東証1部上場銘柄のうち上位100銘柄
  2. 中型株:東証1部上場銘柄のうち上位101~400銘柄
  3. 小型株:それ以外

となっています。

驚くべきは東証の時価総額のうち6割以上を大型株だけでまかなっているということですね。

前述の通り、時価総額は日々変動していくもの。そのため毎年10月には規模別株価指数構成銘柄の見直しも行われています。

大型株のメリットデメリット

大型株のメリットは

  1. 流動性が高い
  2. 業績が安定している
  3. 配当が安定している
  4. 知名度が高く、外国人投資家からの資金流入も見込みやすい

といったことが挙げられます。逆にデメリットは

  1. 浮動株が多いためボラティリティが小さい
  2. 業種全体の悪材料の影響が強い
  3. 指数の影響が強い

といったことが挙げられます。

株価や業績が安定していることは良いことですが、小型株と違って大きな値動きはあまりありません。

また、地合いが悪くなってきた場合に、それを跳ね返すだけの急騰も見込めないということです。

企業としての安定感は非常に魅力的ですが、短期で大きな利益を得たい場合にはそれなりに保有数が必要となってきます。

中・小型株のメリットデメリット

中・小型株のメリットは

  1. 業界中堅以下の企業が多く、成長余地がある
  2. 浮動株が少ない場合に大きな急騰を起こす可能性あり
  3. 少しの材料で大きな値動きが生じやすい
  4. 業績が成長途中なので株価も成長途中

ということが挙げられます。逆にデメリットは

  1. 知名度が低く、流動性が悪い
  2. 急騰もするが急落もする
  3. 業績が安定していないので急に赤転や下方修正が出ることもある
  4. 地合いが良くても資金が大型株だけで回ることもある

といったことが挙げられます。

時価総額規模の考え方

時価総額で株を区別していくと上記のような特徴があり、投資のパフォーマンスに大きく影響しそうだとわかりますよね。

特に小型株では、SNSや提灯記事などでイナゴが群がり仕手化が進むとスーパーボールのように株価が乱高下するようになります。

そこに好業績な状況が加わってくると、市場はその株の価値を測り切れずに買いまくり上昇が止まらなくなるんです。

大型株は大型株で安定した値動きを見せてくれるのでこれはこれで魅力がありますが、短期間でより大きく利益を出すという観点から考えると小型株でうまく立ち回るということは非常に効率的です。

デイトレでもスイングでも話題となっている銘柄の値動きを追っていくことは非常に有用な手段だと思います。

ただし、小型株はブームがすぎ去るのも早いです。

1つの銘柄に固執するよりは、テンポよく銘柄を乗り換えていくことを意識してみると良いですね。

大事なことは

  1. 今この銘柄が乗りに乗っているのか
  2. 強い値動きをしていると言えるのか

といったことをチャートから判断するということです。

小型株の個別の動向に定期的に気を配り、勢いがついている銘柄を拾い上げてどんどん乗り換えていきましょう。

ちなみに、最初のうちは大型株と小型株の比率をご自身で決めて、その枠の中でポートフォリオを作るのもおすすめです。

ストップ高のパターン

時価総額・株価・発行済み株式数が連動していることや、時価総額および浮動株などの重要性がわかってもらえたかと思います。

次に「ストップ高」についてお話します。

ストップ高とは当日中に株価の上昇値幅を制限する仕組みです。

ちなみに下落値幅を制限する場合は「ストップ安」と言います。

1日に値動きできる幅を制限する理由としては

  1. 時価総額と株価のバランスを保つ
  2. ギャンブル性を減らし、投資家の資産を守る

ということが挙げられます。

自分が持っている保有株が一日に何倍にもなったかと思えば大引けには10分の1になっていたらメンタル持ちませんよね。

ストップ高もストップ安も、値幅制限は前日の終値によって基準が定められています。主な価格ごとの制限値幅はこんな感じ。

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大体20%とか30%くらいが目安でしょうか。

終値で1円でもズレていたら翌営業日の値幅が変わってしまうので、大引け間際にこの表が意識されることもあります。

ストップ高の付け方は大きく3パターンに分けられます。場合にもよりますが、ストップ高の付け方によって翌日の値動きに対する印象が変わってきますよ。

寄らずのストップ高

寄り付き前の気配値の時点でストップ高の状態となり、前場が始まっても後場が始まっても一度も値がつかずにストップ高で大引けを迎えるパターン。

イメージはこんな感じ。

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何かしらの強い材料が出ていることが多く、ストップ高の付け方として最も強いパターンですね。

例えばバイオ銘柄でずーっと思惑のあった薬が承認された場合などに寄らずのストップ高になったりします。

寄らずのストップ高では翌営業日以降もストップ高が連続することも珍しくなく、しばらく上昇基調となりやすいです。

寄らずのストップ高を大引けに買いたい場合はこちらの記事をご参考ください。

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ザラ場ストップ高

寄りつきはストップ高ではなかったが、ザラ場中にストップ高に張りついて大引けを迎えるパターン。イメージはこんな感じ。

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寄らずのストップ高ほどではないが、なにかしらの強い思惑や材料がある場合が多いです。

こちらも基本的には上昇基調となるが、連続ストップ高に移行するよりは翌営業日の上昇率が若干縮小することが多い印象。

また、ストップ高が続いた後半にザラ場ストップ高がきた場合、翌日の買いを集めるために行われていることもあるので注意です。

理想は

  1. 前場寄りつき後の値動きからデイトレ銘柄として注目
  2. ザラ場押し目を拾って値幅取り
  3. そのままストップ高張りつき

という流れで利益を伸ばしたあと、後述する時価総額の観点から持ち越し判断をすることでしょう。

ストップ高剥がれ

寄りつきやザラ場中にストップ高になったものの大引けまで張りつかず剥がれてしまうパターン。イメージはこんな感じ。

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大引けまでストップ高を維持できない時は

  1. こじつけ的に上昇させた
  2. 中身のない材料
  3. 過去の材料をあたかも新しい材料のように周知

というケースでストップ高になっている可能性があり最も弱いストップ高のパターンと言えます。

ただし、連続ストップ高の途中にふるい落としをかけるためにあえて一度剥がしてから再度ストップ高に張りつかせる場合もあります。

ストップ高から剥がれた意図を見極めるためには

  1. なぜストップ高の流れが始まっているのか
  2. その理由はちゃんとした材料なのか
  3. 現在の時価総額はどのくらいか

といったことを考える必要があります。

時価総額と目標株価

では時価総額と目標株価にはどのような関係性があるのでしょうか。

冒頭に時価総額の解説を行いましたが、あれはあくまで数字だけを切り取って考えた場合です。

企業の本質的な価値を見定めるには企業がどれだけ利益を出しているかが重要だと思いませんか?

たくさん利益を出している企業はそれだけその先も成長していくと考えられますし、株主としても1株あたりの利益や資産価値が上がるわけですからね。

企業の利益はEPS(1株あたり利益)で表されます。

ちなみに米国株ではEPSが重視されますが、国内株式では営業利益や経常利益が重視される傾向が強いでしょう。

EPSも経常利益も銘柄ごとの四季報欄を見れば直近5年間や今期来期の予想が載っているので、誰でも簡単に確認出来ますよ。

そんなEPSやPERを使って時価総額目安を算出する方法があります。

計算式は

  • 時価総額目安=EPS × 適正PER × 発行済み株式数

です。

これは前述の時価総額計算式の「株価」をEPSとPERに置き換えたものですね。

株価はEPSとPERをかけてあげることで算出できるので、こう変換できます。

教科書的にはEPSで計算するべきですが、特別損失などの影響を除外する上では経常利益でも良いでしょう。

ちなみに今期予想経常利益も四季報や企業のHPに載っていますし、適正PERは同じセクターの平均PERを用いれば良いです。

適正PERはJPXが過去データまでしっかりと出してくれていますので、こちらのページから数字を持ってくるのがおすすめ。

参照リンク:その他統計資料 | 日本取引所グループ

例えば、

  1. 時価総額:100億円
  2. 発行済み株式数:1000万株
  3. 株価:1000円
  4. EPS:100円
  5. PER:10倍
  6. 適正PER(セクター平均):15倍

という銘柄があったとしましょう。

先ほどの計算式に当てはめると、

  • 時価総額目安=100 × 15 × 1000万 = 150憶円

となります。

現状のPERが10倍ということは、ここから株価が1500円になれば適正な時価総額目安ということです。

株価1000円の場合は300円が最大値幅ですから、材料次第では2連続ストップ高くらいまではあり得るケースだと推測できますね。

言い換えれば目標株価は1500円前後となり、チャート上でもこのあたりのラインに注目することになるでしょう。

1円もズレずにばっちし当たることは珍しいですが、こんな感じで

  1. 予想経常利益やEPS
  2. 発行済み株式数
  3. 適正PER
  4. 材料
  5. 直近値動き

などを用いて予想株価を考えてみると、ストップ高がどこまで続きそうかなんとなく予想することができます。

もしここに企業の成長速度を絡めて考えたい場合、EPSの平均成長率を過去5年くらいの実績から算出してあげましょう。

もしEPSの成長速度が10%であれば、時価総額や目標株価も1割増しで考えることができます。

未来の目標株価という意味ではこちらの考え方こそ適正で、まさに「目標」となる数字ですね。

毎年10%以上も成長を続けているような会社は投資家に好まれ、より未来の業績まで織り込んで買われる傾向が強いです。

PERもセクター平均とは言わず、もっと大きな数字を達成することも視野に入れる方が多いでしょう。

この辺りは成長株投資の考え方になってきて、目標株価を出すためには業績成長率をしっかりと考える必要があります。

ちなみに、企業の資産価値などまでしっかりと考慮した理論株価を知りたい場合は以下のサイトで調べることが可能です。

実状と乖離しているケースも多いですが、これを参考にしつつ業績成長率などを加味すると良いですね。

外部参照リンク:理論株価Web

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時価総額に関係なくストップ高が続くケース

時価総額などから株価の適正範囲がどれくらいか考えてもそれを上回る上昇を見せるケースがあります。

それは市場が企業価値を測りかねているケースです。記憶に新しいチャートだと2019年1月のサンバイオなんかがそうですね。

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サンバイオはバイオ銘柄で、兼ねてから噂されていた再生医療薬の治験が進展進展していくにつれて株価はどんどんうなぎ登りに。

バイオベンチャーで赤字続きでしたが、一部上場の製薬会社を超える時価総額となってしまいました。

結局、治験が不調に終わったことで急騰前の価格まで戻りましたが市場が材料の価値を測りかねていた良い例だと思います。

他にも赤字業績が企業体質やマネタイズ変化により黒字転換した場合なども同様のことが起こりえます。

予想株価など関係なく大きく価格変動する場合もありますので予想はあくまで理論値であって絶対ではないんだと認識しておきましょう。

まとめ

いかがでしたか?今回は時価総額やストップ高について詳しく解説しました。

企業価値は時価総額で決まり、予想はあくまで予想なんだと認識しながら市場がどこを目指しているのかチャートから探っていくと非常に面白いですよ。

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