MACDとRCIはテクニカル分析の中でもかなり使いやすい指標だと考えていて、なおかつ組み合わせることで相乗効果も生まれます。その理由は
- MACDの欠点であるボックス推移を補完できる
- 判断が難しい押し目局面にも再現性を出せる
- RCIとMACDの方向性を合わせて確認することで株価の強さをよりチェックできる
といったことが挙げられるでしょう。そこでこの記事では上記のことを含めつつトレンド転換から継続期、そしてトレンド終末期に分けてどのように使い分けていくかを解説しました。
あくまで私個人がどう捉えているかを述べたものですが、解釈としてはこれで問題ないのかなと考えています。MACDとRCIをどう併用していくかお悩みの方はぜひご参考ください。
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MACDとRCI併用手法
ではMACDとRCIの併用手法を解説していきます。まずそれぞれどういった意味合いで使われるのかについてですが、今回の役割分担としては
- MACD:初期のエントリー・方向性・弱まり兆候
- RCI:トレンド強弱感・方向性・押し目・弱まり兆候
といったイメージで問題ありません。具体的な意味合いは後述内容を読んでいただければ感じ取ってもらえると思いますので、ここでは全体のざっくりとした流れをシェーマで表しておきます。
フェーズ分けとしては
- トレンド転換期(エントリータイミング初期)
- トレンド継続期(エントリータイミング後期)
- トレンド終末期(利食い)
という名称にしておきました。以下、それぞれのフェーズに対応するチャート例を載せながらポイントを解説していきます。
トレンド転換期
最初のフェーズではトレンド転換を捉える意識が最も重要です。具体的には
- ローソク足に強い値動きが表れていること
- それに伴ってMACDが十分な角度を持ってゴールデンクロスすること
が確認できたらエントリーしますので、ここでの主役はMACDです。MACDの良さはシンプルかつ明確な売買シグナルをゴールデンクロスという形で提供してくれる点ですよね。
しかし、過去記事でも述べたようにゴールデンクロスする状況では
- しっかりとした角度で上に切り返したか
- クロス後にも勢いを増しているか
という所をしっかりと確認したいです。ここが確認できないと自信をもってトレンド転換に向かっていると判断できずエントリーもしづらいかなと考えます。上記の点について述べた過去記事は添付しておくのでそちらをご参考ください。
また、RCI併用手法で覚えておきたいのはMACDよりRCIの方が株価に対する反応が機敏であるということです。つまりゴールデンクロスの速さで言えばRCIの方が先に訪れ、後追いでMACDもクロスし始める状況も多くなります。
RCIはクロスしたあと一足早く天井まで進みやすいですが、ここで見るのは短期RCIや中期RCIが張りつくかどうかでしょう。張りついた方が値動きは当然強く、同じ銘柄の同じような値動きでも印象は変わってきますね。
理想はRCIが張りつきながらMACDもしっかり上に伸び続ける値動きであり、MACDのクロス状況を加味しつつ明確に上昇トレンドに移行したと判断しやすいです。例としては・・・
こんな感じです。上記の図は
- 上段:株価推移
- 中断:MACD
- 下段:RCI
を表示したチャートですが、
- 左チャート:短期・中期RCI張り付き
- 右チャート:惜しくも中期RCIがそうならずその後の株価推移も弱い
特徴があります。エントリー継続するなら断然前者であり、後者の例では長期線に上値を抑えられながら中期線を割り込んだところで逃げても良いでしょう。
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トレンド継続期
先ほどのトレンド転換期ではMACDとRCIの状況からトレンド転換を感じ取りました。ここを超えると次はトレンドを継続して定着させるフェーズに移ります。トレンド継続期では上昇の強まりをMACDとRCI両方から感じ取ることができ、例としては・・・
こんな感じですね。ここは主に押し目を取っていく意識なのでRCIが重宝します。この理由は押し目局面のMACDはデッドクロスする状況も多いからです。MACDのデッドクロスは通常であれば売りシグナルですが、上昇局面ではそれが下落の始まりなのかボックスの初期なのかはわからないので明確な信ぴょう性はないと思います。
したがって
- 株価が上昇トレンド継続中
- 移動平均線と乖離が少なく安定している
といった状況では無視しても構わないでしょう。稀にデッドクロスを否定するような動きがMACDにも見られ、これは強い値動きだと個人的には考えていますが・・・やはり頻度的にはRCIで値動きを考える方がリターンは大きいです。
具体的には中期もしくは長期RCIが天井に張り付いた状況で短期RCIのみがボトム形成するタイミングを押し目エントリーと考えます。上記の例でも下段に表示した中期RCI(緑)は天井に張り付いたまま短期RCI(赤)のみがきれいに谷底を作ってくれていますよね。
この短期RCIが0ライン付近まで落ち込んだ後に切り返すタイミングは絶好の押し目ポイントになるでしょう。ただしこの時、MACDでもダイバージェンスを一応見ておきます。ダイバージェンスとは
- 株価が高値切り上げ
- MACDは高値切り下げ
という具合に株価とMACDの動きが逆行する状況のことです。安定上昇中の銘柄では中盤以降にこのダイバージェンスが起きやすく、上図でも後半部分にそれが確認できますね。
ただ安定上昇ではほぼほぼ確実に出るものであり、ダイバージェンス後にすぐ株価が下がるというものでもありません。そのためとりあえず無視するということもありますが、一応は
- 大きな高値を基準にダイバージェンスを確認する
- その後に吹き上げるような高値更新を見た場合は最後の打ち上げ花火を連想
- 大きな売りを警戒
という意識を持っておきます。
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トレンド終末期
ここまでトレンド転換フェーズで拾った最初の取得単価は残しながらトレンド継続フェーズで押し目を拾いました。その後に訪れるのはトレンド終末期で、いわば利食いのフェーズとも言えるでしょう。ここでは主に
- RCIが天井から剥がれて垂れ下がる様子
- MACDがデッドクロスしたまま一向に復帰できない様子
を観察していきます。例としては・・・
こんな感じですね。図の例では最後の細かな押し目を形成しながら中長期RCIが垂れ下がり、それと並行してMACDがゴールデンクロスを否定されている様子が観察できますね。RCIが垂れ下がる状況は値動きが弱まらないと起きない現象で、なおかつMACDがクロスを否定するのもしばらく下げが続くことを予兆するものです。
こういった状況が観察できた場合は速やかに全利食いもしくはそれに近い決済を行った方が良いでしょう。少なくとも押し目で拾ってきた分やポジションの半分くらいは軽くしておかないと売りの加速に巻き込まれる可能性が高くなります。
MACDのゴールデンクロス否定は必ず起きるものではありませんが、RCIの天井剥がれは値動きが弱まれば確実に起きるものです。
MACDのダマシを回避する考え方
ここまでの話はトレンドをメインに取り扱ってきましたが、RCIをMACDと組み合わせる意図にはダマシを回避するというものもあります。MACDで最もダマシが出やすい状況はボックス推移や保ち合いと呼ばれる状況です。その点でRCIはとても優秀なオシレーター系指標であり・・・
このようにボックス推移の天底を明確に捉えやすいですね。具体的には短期RCIがマイナス100%に到達して切り返すタイミングで買い、プラス100%にきたタイミングで売ると比較駅良いペースで値幅が取れます。
ただしボックス推移では高値ブレイクも意識しなければなりません。仮にボックス高値をブレイクした場合は上昇トレンドが発生した可能性が出てくるので、その時は前述のフェーズ継続期をイメージして押し目を取っていくと良いでしょう。
個人的にMACDで最もやっかいな状況は「トレンドから保ち合い期に入っているのか微妙」という推移です。ここを判断するのはある程度の経験と勘が必要で、ケースバイケースの対応にはなります。ただ、MACDの推移を観察する中で
- ゴールデンクロスしたのにヒストグラムが増加していかない
- MACDラインとシグナルラインが抱き合うように推移している
といった状況が観察できた場合にはダマシを見ているか保ち合いになっている可能性を考慮した方が良いイメージはありますね。そこからもし自分が保ち合い推移を念頭に考えていくのであればRCIを優位に扱えば良いですし、ダマシだと感じたならしばらく様子を見るのも手でしょう。
完璧なテクニカル分析など存在しないので、
- ローソク足の強弱感
- 値動き背景
- 関連銘柄の動向
なども考慮しながらバランスよく判断していきたいものです。
まとめ
今回はMACDとRCIを併用する手法について述べました。基本的にエントリー時はMACDでトレンド継続中はRCIを見て判断をしていきます。しかしせっかく併用手法を取っているので両方の状況を加味しながら総合的に値動き判断することも大切でしょう。
MACDとRCIを併用するとお互いの状況が噛み合うことも多く、判断を比較的しやすくなる利点があります。また、MACDの欠点であるボックス推移の信ぴょう性低下はRCIでほぼカバーできるので、そういった意味でも非常に相性が良いのでぜひ実践してみてください。
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