一般に株式投資は資金が大きいほど勝ちやすく、メンタル面でもかなり優位に立てる側面があるでしょう。しかし、その一方で株式投資を行う方の中には、
- 10万
- 30万
- 50万
と少ない元手で始めている方もいらっしゃると思います。これら少資金の元手で始めている方はそれだけで大きなビハインドを負っていて、しっかりと資金を用意した人よりも勝ちづらいでしょうね。
ただ、考えようによってはやれないこともなく、この記事ではどんな戦略があるかをご紹介していきます。基本的なお話をしたあとに、資金が10万・30万・50万で場合分けをしてお伝えしますのでご参考ください。
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株の元手は最低いくらないと困るのか
最初に、私が考える「株式投資の元手は最低いくら必要なのか」についてお伝えします。
結論的には最低でも50万はないと困るのではないでしょうか。
その根拠として以下のことが挙げられます。
- 2019年11月時点で上場銘柄は4000を超える
- そのうち10万以内で買えるものは1600銘柄
- 30万以内で買えるものは3000銘柄
- 50万以内で買えるものは3400銘柄
- 元手が少ないほど、ピンポイントで株価が上がらないと困る
- 元手が少ないほど、株に変えている割合が高くなりやすい
- 値動きがメンタルに与える影響も大きく、冷静な判断がしづらい
元手10万の状況
2019年11月の時点では4000銘柄ほどが上場しています。
そのうち10万円以内で売買できるものは1600銘柄ほどですが、REIT(上場型不動産投信)やETF(上場投信)などを抜かすと1300銘柄ほどまで減るんですね。
ちなみに国内を代表するような中型~大型株に限れば40銘柄ほど(全体の100分の1)しかありません。
資金10万円を一度に全部突っ込みたくない場合を考え、資金5万で買える銘柄を絞り込むと・・・1300銘柄から500銘柄までガクッと落ちます。
もちろん10万円全部突っ込むこともできますが、その場合は1万円負ければ資金の10%が一瞬で消えることに注意。
元手のうち、株に変えている割合が多いというのはそういうことです。
株の元手10万円という状況は、売買技術を語る以前に「買える銘柄がかなり少ない」と言えます。
どんなに有望な銘柄を見つけても10万円で買えなければ指をくわえて見ているしかありません。
10万円の元手で買える銘柄の中から頑張って良い銘柄を見つける以外に選択肢はないのです。
これが少資金の一番つらい所で、売買以前の大きな壁となります。
資金の増減割合も大きく、それは「お金を減らしたくない!」というメンタル状況で返ってくるでしょう。
冷静な判断ができず、変なところで損失確定するケースは非常に多いです。
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元手30万の状況
では元手が30万まで増えると、買える株はどれくらいあるのでしょうか。
元手が3倍になるとREITやETFを除いても大体3000銘柄ほどまでぐ~っと選択肢は増えてきます。
中型~大型株に限定しても240銘柄ほどありますし、その中に有望銘柄が含まれる確率も高いでしょうね。
例えば3回に分けて買いたい場合でも、10万の元手で買える選択肢はまるごと入ってくる計算です。
元手30万あれば戦えないことはありませんが、やっぱり元手30万で買えない銘柄の中に有望銘柄が多く存在する可能性は否めません。
元手50万の状況
元手が50万になれば、REITやETFを抜かしても3400銘柄ほどは選択肢に入ってきます。
一度に元手の多くを入れる機会も減り、分割購入や複数銘柄への資金分散も多少なりできてくるでしょう。
- 十分な銘柄選択肢
- 分散投資や分割売買
- 投入資金割合の調整
などスタートラインとして必要な要素が揃ってくるのが大体このあたりのラインからですね。
十分に資金が足りているとは言えませんが、元手50万は最低ラインとなってくると思います。
少ない元手で株をやるための工夫や戦略とは
とはいえ、どうしても少ない元手で株を始めたい方もいらっしゃると思うので、戦略の例をお伝えしておきます。
それは
- 単元未満株を活用して少額売買で練習する
- 練習しながら株資金を増額する
- 十分な資金が集まり、少額売買で多少なり増やせるようになったら本格参入
という戦略です。
単元未満株とは「最低購入株数よりも少ない株数で買えるサービス」のことを言います。
株の世界では売買単位に「単元」が用いられているのはご存知でしょうか。
1単元が何株を示すかは銘柄にもよりますが、現在では「1単元=100株」に統一されつつあります。
つまり株価1000円の銘柄であれば
- 株価1000円 × 100株 = 10万円
が必要最低額になるわけです。
しかし、単元未満株サービスでは1株から買えるので株価の1000円分だけ元手があればOKになります。
例え元手が10万円しかなくても、株価1万円だろうが5万だろうが買えちゃうわけですね。
単元未満株ではデイトレはできませんが、何日間~何週間かの値上がりを狙うスイングトレードなら十分な練習ができますよ。
その練習期間中に、
- 毎月少しずつ入金して元手を増やす
- ボーナスを待って元手を増やす
など少資金対策も可能です。
元手があっても、売買が下手では意味がありませんからしっかり練習しておくと良いでしょう。
元手10万円で株をやる場合どうするか
資金額の大事さや、少資金なりの工夫がおわかりいただけたでしょうか。
ここからは元手の大きさ別に考えられる戦略を述べていきます。
まずは「元手10万円で株をやるならどうするか」ですね。
私なら、
- 粉砕覚悟で値動きが激しい銘柄に投入する
- 10万円で買える銘柄の中からひとつだけ納得のいく銘柄を探す
- 規則性のある銘柄を買う
のどれかを狙います。
値動きの激しい銘柄に投入する
これは資金10万円をどうしても短期的に増やしたい場合のみ行うことです。
言っておきますが、本来であればこういった方法で株を買うことは絶対にやってはいけないことですよ。
しかし、資金10万円を短期的かつ爆発的に増やしたければこれ以外に方法はありません。
例えばTwitterで有名なアカウントがつぶやく内容には銘柄を勧めるようなものもあります。
そういった銘柄は決まって値動きが激しくて、タイミング良く入れば大きく資金が増えるんです。
反対に、タイミングが悪ければあっという間に元手が半分以下になります。
例えば元手が50%減っても、5万円の損失です。
こんなこと言ってはあれですが、5万円って少し働いたりちょっと集めれば割とすぐに貯まる金額ですよね。
なので、
- ビギナーズラックでうまくいったら資金が増える
- 失敗したらそんなにうまい話はないと勉強になる
のどちらかを試すのもアリでしょう。
ただし成功率は限りなく低く、最初からお金をドブに捨てる覚悟でやります。
また、信用取引を行うことは絶対にダメです。
元手以上の損失となり借金になり兼ねませんからね。
10万円で買える納得のいく銘柄を探す
本来ならこれが一番良い方法です。
元手10万だとかなり選択肢が限られるのは難点ですが、その中でも一番最高の銘柄を調べに調べて買うわけですね。
- 単純に業績が良い
- これからもっと事業規模が大きくなる
- 時代のテーマに合った事業をやっている
- 株価が割安な位置にある
- 収益力が高い
- 余剰資金多く、借金が少ない(倒産しにくい)
- 直近で株価が上がるために材料が出た
などを考慮しながら10万円を投入していきます。
株式投資であればこういった要素が基本中の基本で、それは資金が増えても同じことです。
少ない資金のうちからこういったことに気を配ることは非常に良いことなので、もし失敗しても次につながりますよ。
規則性のある銘柄を買う
ここで言う規則性とは、例えば・・・
こんな形で移動平均線と呼ばれる緑色のラインで定期的に反発している銘柄や・・・
こんな形で一定ラインで反発することが多いケースを指します。
これは元手10万円を使って「トレード」をする方法と言えるでしょう。
先ほどの「納得できる銘柄を探す」という考え方では、企業の将来性や信頼度にお金を投入したわけです。
これは「投資」という本質的な目的と言えますね。
それに対して今回は「チャートの期待値」にお金を投入している考え方なので「トレード目線」です。
元手が少ないトレードでは、こういった株価が上がる確率が高いタイミングをピンポイントを見極めて行うことがより重要でしょう。
しっかりと目標値まで引きつけてから売買するのがコツとなります。
元手30万円か50万円で株をやる場合どうするか
では次に
- 元手30万円でどう株をやるか
- 元手50万円でどう株をやるか
を述べます。
と言っても、実は元手10万円でお話した2番目と3番目のどちらかを行うだけです。
ただし、そこに
- 銘柄分散
- 分割売買
の考え方を入れる必要があります。
資金が増えることの基本メリットは
- 銘柄選択肢が増える
- 資金や銘柄の分散効果が得られる
ということでした。
資金10万円でできることを軸に、基本メリットでできるようになった戦略を考えることが重要だと思います。
例えば、
- 将来的に株価が上がってくると思う銘柄に、資金を何回かに分けて入れる
- 2銘柄に20万円ずつ分けて入れて、10万円は保険で取っておく
- 規則性のある銘柄を複数見つけて同時進行する
など戦略の幅は広がりますよね。
元手10万より30万、30万より50万の方がこの自由度が高いというだけで基本的には同じことをすれば良いでしょう。
「同じことでいいの!?」と思うかもしれませんが、戦略が変わってくるのはもっと大きな資金額のお話だと私は思います。
少ない元手なら株式投資の目的を根本から切り替えるのもおすすめ
ところで、そもそも元手が10万や30万など少ないのであれば株主優待目的に切り替えることもおすすめです。
例えば「元手10万で買える優待銘柄特集!」なんて内容は毎年のように雑誌に載っています。
株主優待の中には利回りが高いものもたくさんあって、銀行に預けておくよりははるかにマシです。
また、優待投資にはクロス取引といってリスクを限りなく減らしながら権利を取得する方法もありますよ。
口座に置いた元手は売買手数料分だけ少しずつ減りますが、
- 手元にはそれ以上の優待商品や金券が残る
- トータルでは銀行の利息以上に儲かっている
というわけなので、損していることにはなりません。
資金30万あれば色々な銘柄で優待取得できますし、中には食事や宿泊で使えるものも増えてきます。
- いつもより高いメニューを頼める
- 普段は行かないレストランへ行ける
- 少し上のグレードで宿泊する
など生活はその分だけ豊かになり、家族にも喜ばれるので悪い選択肢ではないでしょう。
お金を積極的に増やすだけが投資ではなく、本質的な目的は「生活を豊かにする」ということですからね。
記事の前半でお伝えした単元未満株サービスでも、優待がもらえる銘柄は割とあります。
まとめ
いかがでしたか?今回は少ない元手でどのように株をやっていくかについてお伝えしました。元手が10万でも30万でも50万でも基本的なことは変わりません。ただし、元手が多いほど銘柄選択肢や分散効果を得られることは確かです。
株式市場に投入する資金割合も増え、それだけリスクも上がります。元手があまりに少なければイチかバチかも良いですが、資金が増えるほどちゃんとした戦略を取る必要があるでしょう。
企業や値動きへの期待値に資金を投入できるよう、考えを練っていくことをおすすめします。自身がなければ単元未満株サービスを利用して、実戦経験を積むことも非常におすすめですね♪
少額で株の勉強ができるので、興味のある方はぜひ活用してみてはいかがでしょうか?それではまた!